髙阪剛『UFC242』の展望を語る「ヌルマゴメドフvsポワリエ戦は1ラウンド目から注目してほしい」

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 日本時間の9月7日(土)深夜、アラブ首長国連邦・アブダビのドゥ・アリーナで「UFC242」が開催される。

(写真左より)ハビブ・ヌルマゴメドフ、ダスティン・ポワリエ 写真:Getty Images

メインイベントは、昨年10月の「UFC229」でコナー・マクレガーを下したライト級正規王者ハビブ・ヌルマゴメドフが、暫定王者ダスティン・ポワリエと対戦するライト級王座統一戦。さらに今年4月にUFCデビュー戦を白星で飾った日本の佐藤天が、ベラル・ムハマッド相手にUFC2戦目を行う。

この注目の2試合の見どころを、「世界のTK」髙阪剛に語ってもらった。

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――「UFC242」のメインイベントは、あのマクレガーを破ったライト級正規王者ヌルマゴメドフが、今年4月にマックス・ホロウェイと歴史に残る激闘を展開した暫定王者ポワリエと王座統一戦を行うことになりました。この試合のポイントはどの辺になりますか?
「まず、大きなくくりとしてライト級という階級は、今や『ライト』と言っても軽量級とは呼べない、比較的重い階級になってきているんですね。なのでフライ級、バンタム級、フェザー級なんかと比べると、どうしても試合の後半、動きが遅くなっていくものなんですよ。でも、ヌルマゴメドフは最後まで失速しないし、いわゆる『組み力』も落ちないところが、強さとしてあるんですよね。」

――ヌルマゴメドフは、いわゆるグラウンド&パウンドでものすごい強さを発揮しますが、普通、試合の後半になるとテイクダウンは難しくなるものです。でも、ヌルマゴメドフは違うと。
「もちろんポワリエも、ホロウェイ戦を見てもわかるとおり、5ラウンドをフルに動き回れるスタミナはありますが、打撃のハンドスピードや、ステップワークなんかはどうしても落ちてしまう。その中で、ヌルマゴメドフの組み力が落ちないことはわかっていると思うので、どう試合を組み立ててくるのかが、まずポイントになると思います。」

――スタミナ配分も含めて、どこで勝負をかけるかという。
「例えば、5ラウンドをフルに戦うつもりなら、攻める時間をショートにして『攻め疲れ』を防ぐことも一つの手段かと。あとは組まれた時の対処をどうするか。徹底して立つか、サブミッションを仕掛ける割合をどうするか。下からの関節技や絞め技を仕掛けるのって、どうしても体力を奪われるんですよ。そういったところをどう調整していくかが重要になると思うんです。」

――いずれにしても、相当難しい作業を強いられるということですか。
「そうなりますね。8月に行われたヘビー級タイトルマッチでのスティーペ・ミオシッチのように、後半失速してきた相手に対して、ボディブローという、それまでとは別の攻撃で活路を見出せれば良いのですが、ヌルマゴメドフは後半になっても隙やミスを見せる選手ではないので。また、ポワリエはボクシングがすごくうまいんですけど、なかなか一発KOにはさせてもらえないと思います。ヌルマゴメドフは、マクレガー戦のときもそうだったんですが、パンチをもらいながら、自分も手を出してどんどん前に出ていくんですよ。あれをやられちゃうと、距離が詰まっているので当ててもなかなか効かないんです。また、打つときに自分のバランスも崩れてしまって、パンチをクリーンヒットさせられないんですよね。」

写真:Getty Images

――では、ポワリエの突破口はどこにあると思いますか?
「可能性として考えられるのは、組んでからの離れ際の打撃ですね。ヌルマゴメドフは組んで離れるとき、一瞬だけ顔が開くときがあるんです。その時が、強い打撃を入れるチャンスかもしれない。」

――そういう針の穴に糸を通すような攻撃が必要だと。
「穴のない相手にそれをやらなきゃいけない。ヌルマゴメドフの針の穴は、相当小さいですからね。ただ、試合に向けてのモチベーションや仕上がりという面では、ポワリエの方にアドバンテージがあるような気もします。ヌルマゴメドフは、10ヶ月間とはいえ出場停止期間があったので、試合がやりたくてもできないメンタルがあったと思うんです。それは休んでいるメンタルとは違いますからね。試合ができない期間って、なかなかトレーニングに身が入らなくて、ただの運動になってしまったりするんですよ。」

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