【UFC272】UFC一番の犬猿の仲!ウェルター級スター同士が初対戦!勝負の分かれ目とは!?
ホルヘ・マスヴィダル/Getty Images
――一方、マスヴィダルのほうは根っからのファイターという感じですよね。
「マスヴィダルは自分からプレッシャーをかけて、蹴りなりパンチなりを被弾させて、相手がちょっと隙を見せたところを見逃さず仕留められる選手。あれこそ天性の感覚、野性の勘のようなもので、マスヴィダルの強さの根本にはそれがあるんだと思います。」
――隙がない自分を作り上げるというより、相手に隙を作らせてそこを突ける選手。
「1試合の中でひとつのミスもせずに完璧に試合展開をこなすっていうのは、どんなに完成度の高い選手でもやっぱり難しいんですよ。だから現王者のウスマンや、元王者のジョルジュ・サン・ピエールのような難攻不落タイプでも、試合中に何度かは隙を見せていて、マスヴィダルはそこを嗅ぎつける能力が高い選手なんです。」
――わずかなチャンスを見逃さないわけですね。
「しかも、自分からプレッシャーをかけて相手のミスを誘うのもうまい。だからダレン・ティル戦なんかでは、ずっとオーソドックスの構えで戦っていたのが、急にサウスポーにスイッチして、『あれ?』ってなったところに、フェイントから左フックを入れたりしていましたから。その野性的な感覚がマスヴィダルの強みですね。」
――では、じつは努力家で隙のない自分を作り上げるコヴィントンを、マスヴィダルがどれだけ崩せるかがポイントになりそうですか?
「そうですね。正直、レスリング技術はもちろん、打撃とタックルの混ぜ方なんかも含めて、コヴィントンのほうがいろんな武器は持っていると思うんですよ。でも、劣勢になったとしても、一発で試合をひっくり返せるだけの力をマスヴィダルは持っている。マスヴィダルは多少被弾しても、相手がチャンスだと思って向かってきたときにカウンターを合わせるのも得意だから。相手が勝負に来た時が、自分にとってチャンスだという感覚があるでしょうね。」
――殴り合い上等で、競り合いの中から勝ちをつかむという。
「だからマスヴィダルの試合は面白いんだと思います。一筋縄ではいかないし、逆転が起こる可能性が高いので。コヴィントンは意を決して前に出る時、けっこう被弾するんですよ。そして打撃vs打撃になったとき、マスヴィダルの方が強いパンチを持っているし、打ち合いに強い選手なので、もしコヴィントンがちょっと雑に前に出てきたりしたら、マスヴィダルが強打で倒す可能性が高くなる。ただ、コヴィントンがケージレスリングも含めたタックル中心の戦い方を仕掛けてくると、マスヴィダルの良さが消されてしまうかもしれない。」
――マスヴィダルの1回目のウスマン戦が、そんな感じでしたもんね。では、勝負はマスヴィダルがどれだけ『ケンカ』に持ち込めるかどうかですかね。
「たぶんマスヴィダル自身、そうしないと勝てないと思っているはずなんですよ。試合前のトークで吹っかけたり、頭に血をのぼらせるための布石をいろいろと打っているのも、自分のペースに持ち込むためのものですよね。そして、殴り合いに持ち込めば滅法強いので、コヴィントンvsマスヴィダルは、そういった事前の駆け引きも重要になってくるんじゃないかな。単なる試合を盛り上げるためのトラッシュトークの応酬ではなく、それが戦いにも直結するような試合になると思いますね。」
(聞き手・文/堀江ガンツ)
◆◆◆WOWOW『UFC -究極格闘技-』放送・配信スケジュール◆◆◆
『生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC272 in ラスベガス コヴィントンvsマスヴィダル、因縁の決着!』
3/6(日)午後0:00[WOWOWプライム]※生中継
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
3/12(土)午前1:00[WOWOWライブ]※リピート
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
【対戦カード】
ウェルター級/コルビー・コヴィントン vs ホルヘ・マスヴィダル
160ポンド契約(72.6kg)/
ハファエル・ドス・アンジョス vs ヘナート・モイカノ
【収録日・収録場所】
2022年3月5日(現地)/アメリカ・ネバダ州ラスベガス T-モバイル・アリーナ
【出演】
解説:髙坂剛、堀江ガンツ
実況:高柳謙一
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