『UFC285』大注目のヘビー級王座決定戦!世界のTKは「ジョン・ジョーンズらしい“宇宙人ぶり”」に期待

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(写真左より)ジョン・ジョーンズ、シリル・ガーン、ヴァレンティーナ・シェフチェンコ、アレクサ・グラッソ/Getty Images

 日本時間の3月5日(日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガスのT―モバイル・アリーナで『UFC285』が行われる。メインイベントは、じつに3年1カ月ぶりの復帰戦となる元ライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズが、元ヘビー級暫定王者のシリル・ガーンと対戦するヘビー級王座決定戦。この一戦の見どころを“世界のTK”髙阪剛に語ってもらった。

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髙阪氏は「ついに来ましたね」とジョン・ジョーンズとシリル・ガーンの対戦に期待を寄せた。(C)Getty Images

――『UFC285』のメインイベントで、ついにジョン・ジョーンズが3年1か月ぶりに復帰。しかもヘビー級に転向していきなりシリル・ガーンと王座決定戦を行うことになりましたね。
「ついに来ましたね。この試合のポイントはいろいろありますけど、まずは大きく2つ。ジョン・ジョーンズが3年間、格闘技にどう取り組んできたのかということと、はたしてヘビー級に対応することができるのか、ということですね。ジョン・ジョーンズは身長が高くてリーチも長いから、フレームとしてはヘビー級でも問題ないと思うんですけど、体重が重くなればなるほど、身体への負担がぜんぜん変わってくるんですよ。
 とくにタイトルマッチは5ラウンド制なので、ライトヘビー級では5ラウンド通して動けていたのが、ヘビー級になったら途中で失速したりすることも普通にある。単純に今まで以上の体重を背負っているというだけじゃなく、攻撃の出力も上がっていると思うので、その出力コントロールがうまくいかずに途中で腕がパンパンになってしまうこともありえますから」

——ジョーンズはライトヘビー級王者時代、5ラウンドをフルに戦うことが多かったですけど、これまでどおりにはいかない可能性があるわけですね。
「ライトヘビー級時代後半のジョン・ジョーンズって、スタンドでプレッシャーをかけながらパンチの無駄打ちはしない、言ってしまえば安全に勝ちにいくという戦い方をする気持ちが本人の中にもあったんじゃないかと思うんですよ。前回、3年前のドミニク・レイエス戦でも、ジョーンズはプレッシャーをかけながら要所要所で打撃をヒットさせて、僅差の判定をものにしていた。でも、あれをヘビー級の身体で、しかもフットワークが使えるシリル・ガーン相手に通用するかどうか。ちょっとそこが自分としても見えない部分ではあるんです」

――今回はヘビー級転向第1戦ということだけじゃなく、対戦相手が“ヘビー級らしくないヘビー級”であるシリル・ガーンというのもポイントですよね。
「そうなんです。ジョン・ジョーンズはプレッシャーをかけて、しっかり自分のかたちを作れると盤石の強さを発揮しますけど、シリル・ガーンみたいにフットワークを使って、タイミングをずらして強い打撃を打ってくるタイプって、あんまり得意じゃないと思うんですよ」

――ジョーンズが絶頂期に苦戦したアレクサンダー・グスタフソンも素早いフットワークを使いボクシングが得意な、いわばシリル・ガーンタイプでしたよね。
「ガーンはフットワークもそうなんですけど、相手を追いかけさせておいて、反対に動くことができるんですよ。要はサイドステップなんですけど、ヘビー級のあのサイズで素早いサイドステップができるっていうのは、ちょっと考えられないことなんです。
 ヘビー級って体重があるから、サイドステップをすると身体にものすごく負担がかかるんですよ。普通に立っているところからパッと横に動くのは誰でもできるんですけど、例えば左に動いて相手を寄せておいて、右にパッと動いて、サイドから顔面に打撃を打ち込むというシリル・ガーンのやり方は、なかなかできるもんじゃない」

――慣性の法則があるから、大型トラックが急ハンドルを切るのが難しいようなもんですかね。
「それに近いものがあるかもしれない。これは“ヘビー級あるある”なんですけど、サイドステップをやると足の裏の皮がめくれて血だらけになったりするんですよ。自分の重さと圧力に皮が耐えきれない。だから逆に、足が効かなくならないために下手にサイドを切らないように動いたりもするんですけど、シリル・ガーンは後半のラウンドになってもその動きができるので、もしこれに翻弄されちゃうと、ジョン・ジョーンズも苦しくなるかもしれないですね」

――シリル・ガーンのサイドステップによって、ジョン・ジョーンズのプレッシャーが効かなくなるかもしれない、と。
「だからジョーンズは、あえてヘビー級らしいどっしり構えた戦い方ではなく、ライトヘビー級王者になったばかりの頃の、何をしでかすかわからないような戦い方のほうが活路を見出せるかもしれない。空振りしてもいいから距離を詰めて、相手がケージに詰まったところにヒジを叩き込むとか。サイドを取られても振り返りながらバックスピンエルボーを出すとか、そういう技をヘビー級の身体でやらやれたら、シリル・ガーンも嫌だと思うんですよね」

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