『UFC285』大注目のヘビー級王座決定戦!世界のTKは「ジョン・ジョーンズらしい“宇宙人ぶり”」に期待
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――そんなヘビー級ファイター、他にいないわけですもんね。
「だからジョン・ジョーンズがヘビー級に転向するのは新しい試みなんだけど、動き自体はよりライトヘビー級っぽいというか、若い頃みたいにいろんな技を駆使したほうが強いと思うんですよ。同じプレッシャーをかけるのでも、よりスピードを乗せるイメージでシリル・ガーンのサイドステップを止められたら、得意のヒジがヒットするかもしれない。あとはタックルですよね。ジョン・ジョーンズはあの長身で、リーチが長くて低いタックルに入れるので」
――シリル・ガーンの唯一の敗戦は、フランシス・ガヌーとのヘビー級王座統一戦(2022年1月『UFC270』)でしたけど、その時はガヌーがまさかのテイクダウンからグラウンドコントロールで来て、寝技で抑え込まれての判定負けでしたしね。
「あの試合を観ると、グラウンドになった時の対応力というのは、まだそこまででもないのかなという気がしますよね。だからこそ極力寝かされないために、サイドステップでずらして正面に立たないようにしていたのかもしれない。そういう考え方もできる」
――ましてやジョン・ジョーンズは、NJCAA(全米2年制大学体育協会)レスリングのオールアメリカンで、あのダニエル・コーミエからもテイクダウンを奪っている選手ですからね。
「そうなんですよ。だからレスリング力という武器が勝敗を左右する可能性がある。べつにタックルを軸に試合を作らなくても、“タックルがくるぞ”とガーンの意識に植え付けるだけで、ガーンはより横の動きを強くしなければならないから、さすがに後半足が疲れてくると思うんですよね」
――では、レスリングも含めた、ジョーンズが持つさまざまな技術を駆使することが重要になってきそうですか?
「そうなんですけど、ヘビー級の体重を背負ってそれをやるためには取捨選択をする必要が出てくるはずなんですよ。出力を出しすぎて次の動きがうまくいかなくなる、ということが起こるのがヘビー級なので。だから出力を抑え気味にしながら、なおかつ倒しに行くという技のバランスや、仕掛けの組み立てができるかどうかが問われる。ヘビー級って大味に見えますけど、ホントに難しいんですよ(笑)」
——となるとジョン・ジョーンズは、ヘビー級になった自分を使い切れるかどうかですね。
「そうですね。また、3年のブランクの間に手に入れた新たな技術なりパワーというものは絶対にあると思うので。試合だから、必ずしもそれが出せるとはかぎらないですけど、せっかく復帰するんだから“ニュー・ジョン・ジョーンズ”を見せてほしいっていう期待感はすごくありますね」
――ジョン・ジョーンズがここで自分の能力を存分に発揮できたら、またMMAのヘビー級が変わりますよね。MMAの進化を促すというか。
「“ジョン・ジョーンズ”という存在が出てきたこと自体がそうでしたからね。ライトヘビー級王者になったばかりの頃の彼の試合では、“MMAでこんなことができるんだ!”という驚きが毎回ありましたから。今回のヘビー級転向でも“なんだこいつは!?”と思わせるような、ジョン・ジョーンズらしい“宇宙人ぶり”が観られることを自分は期待しています」
(聞き手・文/堀江ガンツ)
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◆◆◆WOWOW『UFC -究極格闘技-』放送・配信スケジュール◆◆◆
『生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC285 in ラスベガス ジョン・ジョーンズ、いよいよヘビー級降
臨!vsシリル・ガーン』
3/5(日)午後0:00[WOWOWプライム]※生中継
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
3/8(水)午前8:00[WOWOWライブ]※リピート
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
【放送カード】
ヘビー級王座決定戦/ジョン・ジョーンズ vs シリル・ガーン
女子フライ級タイトルマッチ/ヴァレンティーナ・シェフチェンコ vs アレクサ・グラッソ
【収録日・収録場所】
2023年3月4日(現地)/アメリカ・ネバダ州ラスベガス T―モバイル・アリーナ
【出演】
解説:髙坂剛、堀江ガンツ
実況:髙柳謙一
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