東京五輪の手本に?米インディカーシリーズが関係者全員を対象にワクチン接種を実施
米インディカーシリーズは新型コロナウイルス対策が一枚も二枚も上手だ。
シーズン開幕直前にオープンテストが実施された際に関係者全員を対象にワクチン接種を行った。この中には米国人だけでなく、海外の選手も含まれ、参戦12年目となる佐藤琢磨(44)もテスト会場となったインディアナポリスモータースピードウェイで受けた。
開幕戦アラバマの予選を走行する佐藤琢磨(ホンダ提供)
画期的だったのは選手だけでなく、チームクルー、シリーズ運営スタッフ、さらには報道陣までも接種の対象だったこと。日本から取材に駆けつけたジャーナリストやフォトグラファーらもワクチン接種の恩恵を預かった。
現地で取材するフォトグラファーの松本浩明氏に連絡を取ったところ「インディカーが関係者に呼びかけたのは今回が初めて。概ね好評だった」とのこと。ワクチンはファイザー社製でインディカーの運営会社と名門のチームペンスキーが主体となってワクチンを確保したという。
スピードウェイのあるインディアナ州は米国内でもワクチン接種が比較的進んでいるところとされるが、日本では4月になってようやく高齢者を対象に各地方自治体がワクチン接種を始めるなど立ち遅れが目立つだけに、私的な団体が関係者分のワクチンを融通できていることに驚きを禁じ得ない。
インディカーは伝統のインディ500を開催する米国のモータースポーツを象徴するシリーズの1つで、今後も米国内を転戦する。昨年はコロナの感染拡大で延期や中止となったレースもあるが、毎年5月に予定されていたインディ500は8月に延期され、無観客ながら無事に実施された。そのレースで3年ぶり2度目の優勝を果たしたのが琢磨だ。
今回のワクチン接種も米疾病予防管理センター(CDC)やインディアナ州保健局と連携を取って実現に至ったとみられるが、今季はシリーズに穴をあけることなく、通年で成功に導こうとするインディカー側の意欲が見て取れる。