DeNA・山﨑がプロ初の牽制球、MLBで牽制球を投げない大エースとは?
プロ6年目、通算306試合目での解禁が話題となった。DeNAの守護神・山﨑康晃投手が27日、阪神戦でプロ公式戦では初めての牽制球を投げた。
話題の場面は1点リードの9回2死一塁。代走・植田海が告げられていた。俊足の一塁走者に対し、ベンチから木塚敦志投手コーチがマウンドへ飛び出し、牽制球を指示。これまで一度も牽制球を投げないことで有名だった山﨑が、一塁へ2度牽制し、植田を警戒した。
・今すぐ読みたい→
プロ野球ドラフト伝説 「外れ1位」から大化けした選手たち https://cocokara-next.com/athlete_celeb/draft-miss/
だが警戒虚しく、二塁盗塁を決められた。さらに打者・大山悠輔は四球で歩かせてしまう。慣れない牽制球でリズムを乱したのか、続くサンズには逆転3ランを浴びてしまった。
山﨑はこれまで牽制球を投げない理由を「一番は打席にいる打者と集中して対戦したいから。100%で打者と向き合いたい」などと説明してきた。牽制球は投げなくても、目で走者を牽制したり、セットポジションに入るタイミングや時間などの間をうまく使うことで、容易に走らせることはなかった。
また、この日みせた2度の牽制球は自然なそつない動きで、特に苦手意識を持っているわけでもなさそうだ。過去に2019年7月12日のオールスターでは、公式戦ではないがプロ入り後初の牽制球を披露していた。その際には「何か一つ、変わったことをしたいと。普段と違い、楽しんでもらえれたらと思った」と説明した。
山﨑は技術的な問題ではなく、精神的により打者に集中し、結果的に失点を防ぐために、牽制球を封印してきた。だが、海の向こうのメジャーリーグには本当に牽制球が投げられない大投手がいる。
通算190勝を挙げ、大台到達が間近に迫っているカブスのジョン・レスター投手。今年36歳を迎えた大ベテランで、既にレジェンドの風格すら漂わせる左腕は、一塁への牽制イップスとして知られている。
レッドソックス時代に見かねた首脳陣は、悪送球を防ぎ、打者との勝負に集中させるため、最終的に一塁への牽制球を禁止させた。ただカブス移籍後は、その弱点を突かれて何度も二塁盗塁を繰り返されるなど、走者対策に頭を悩ませてきた。
レスターにとって普通に一塁へ投げることは難しかったので、ワンバウンドでの牽制球や、ゴロでの牽制球など、さまざまなアイデアを練った。時にはノーマークで余裕をみせる走者を、不格好ながらこうした牽制球でアウトにしたこともあった。