イニングイーター健在を示した中日・大野雄大 「黄昏時」を振り払う147キロ直球
■大野の投球がドラゴンズを一つに
左肘手術明けの36歳シーズン。直球で押してきた大野にも「黄昏時」がやってきていた。
開幕早々に白星を掴むも、次の登板では炎上。ファーム行きとなった。奇しくも今回と同じ阪神戦での出来事だった。投球スタイルの軸を成す直球はスピードが上がらず、140キロ台前半を推移。2軍相手にも打ち込まれる場面が散見された。
交流戦明けにチャンスをもらうも、DeNA戦で再び炎上。ついに限界が訪れたのか。そう思ったファンも多かったことだろう。
それでも左腕が諦めることはなかった。先発陣の層の薄さから、8月初旬に1軍合流の機会を掴むと、3日の広島戦と11日の巨人戦でそれぞれ5回を投げ切った。かつての沢村賞投手の実績を思えばいささか寂しい内容だが、全力で腕を振り、直球を軸に投げ込んでいく姿は何も変わっていなかった。
迎えた今回の登板、なかなか越えられずにいた145キロをマーク。最速は147キロまで上がってきた。球数も110球と健在ぶりをアピール。夏場のイニングイーター復活は投手陣に好影響を及ぼすはずで、大野自身の「黄昏時」も払拭される方向になってきた。
チームは今季も厳しい状況が続き、クライマックスシリーズ出場の可能性が風前の灯となっている。だが、これからも大野の熱投がドラゴンズにまつわる人たちを一つにしてくれる。そう願ってやまない。
[文:尾張はじめ]
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