羽生結弦があの「東京スポーツ一面」にもたらした「異変」とは
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東京スポーツ、略して「東スポ」。
その一面はある意味、芸術であるとも言われています。
朝刊スポーツ紙のデスクは言います。
「かつて『マドンナ痔だった』『プレスリー生きていた』『人面魚、重体脱す』などの傑作一面が世に放たれ、今でも『東スポ伝説』として語り継がれています。というのも、東スポは即売がメインの夕刊紙。我々朝刊紙よりも深く濃い、そして駅の売店でキャッチーに通行人の目を引く一面見出しが、東スポにとっては生命線だったわけです」
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そして、こう続けるのです。
「お笑いタレントが『東スポは日付け以外は全部誤報』とかネタにしてきたから、面白新聞のイメージが強いですけど、実は記者の力量はガチ。例えばプロ野球の現場でも、東スポの記者は一番早く来て、一番最後に帰る。朝刊スポーツ紙の記者が帰った後も、残って裏方さんからじっくりと話を聞いている。だから人が育つ。朝刊スポーツ紙に転職した記者の中には、出世街道を驀進している人も少なくないんです」
そんな東スポの一面見出しに「異変」が起きたことが話題になりました。8月13日付けはこのような見出しが躍ったからです。
「本紙に告白 羽生スケート愛」
「単独インタビュー」
「私がおじいさんになっても…信念曲げない人間でいたい」
「うまくなる!!常に忘れないで強くなっていきたい」
スポーツメディア関係者はこう分析します。
「どんなスーパースターでも面白おかしく、東スポ風に『料理』するのが東スポさんの流儀でした。人格者で知られるあの松井秀喜さんも、東スポではAV大好き人間に描かれ続けた。まあ、それが松井さんの親しみやすさに寄与した部分も大きいんですが(笑)。しかし、今回の羽生さん単独インタビューに関しては、遊びの要素がゼロです。逆に言えば、あの東スポ上層部が『ガチのストレートなインタビューでも、一面として十分成立する』という判断をしたとも言える。羽生さんがスーパースターの中でも別格であることが、この東スポ一面からもうかがい知れるわけです」