異質だから面白い!J1に旋風を起こす町田イズムの「真髄」と勝ち続けるための「課題」
アグレッシブな守備とそこからの速攻が町田の持ち味。組織として高いレベルにある(C)Getty Images
開幕戦でG大阪と1-1で引き分けた後、名古屋、鹿島に対しては連続で1-0の勝利。町田は3節終了時点で勝ち点7と、広島に次ぐ2位につけ、上々のJ1デビューを飾った。
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J2からの昇格組ではあるが、客観的なデータはこの健闘をサプライズとは呼んでいない。『Transfermarkt』によれば、町田に所属する選手の市場評価額の合計は、1780万ユーロ(約28億円)。J1の20チーム中2位だ。1位の浦和が2495万ユーロ(約40億円)で一つ飛び抜けているが、町田は3位横浜FM、4位神戸と市場価格がほぼ同額。つまり、これらの優勝候補と同じく、町田は強化予算では上位に進出しても不思議ではないチームと言える。これは前提だ。
ただ、そうは言っても、毎年投資額に見合わないリーグ成績になるクラブが多いのも事実。「ドキッ」としたサポーターがいるのではないか。チーム作りの効率性や整合性、あるいはマネージメントにより、必ずしも期待した成績にならないのがサッカーの難しさと面白さだ。
だが、その点では町田はむしろ、自信を持っている節さえある。プレーモデルが明確であるため、チーム投資の効率が良いからだ。
ハードワークを大前提とした各選手のタスクは、明確に定められている。両サイドハーフは縦のスペースに飛び出してクロスに持ち込める平河悠とバスケス・バイロン。FWはターゲットマンのオ・セフンやミッチェル・デュークと、裏を陥れる藤尾翔太やエリキの2トップ。
ボランチは長短のパスに長けた仙頭啓矢や下田北斗と、ボールハンターの柴戸海のセット。サイドバックはロングスローを投げられる鈴木準弥と林幸多郎。鈴木はFKなどセットプレー全般のスペシャリストでもある。CBは競り合いに強いチャン・ミンギュとドレシェビッチ。結果に直結するGKも抜かりはなく、セーブに長けてロングキックの精度が高い、谷晃生を獲った。
キックが上手い選手、ボールを奪える選手、空中戦に強い選手、ドリブルで突破できる選手、プレースキッカー、スロワー。それらをシンプルにポジションに配し、役割を徹底させる。流動性は低く、全体のバランスが強固。全員をMFのように扱うペップ・グアルディオラの発想とは逆に、スペシャリストを11人並べたチームだ。