異質だから面白い!J1に旋風を起こす町田イズムの「真髄」と勝ち続けるための「課題」
もっとも、そもそも町田の真の脅威は前への圧力だ。ロングスロー自体ではない。奪う圧力、前へ運ぶ圧力、押し込む圧力、競り合いの圧力。プレッシャーをかけ続けることで、相手の長所を封じる。J1で対戦したクラブは、まるでACLで韓国勢と戦うかのような圧力を町田から感じたのではないか。前述のロングスローも、得点手段というより、前への圧力をかける手段、相手にダメージを残す手段として活用されてきた。得点力は低くても、厄介だ。
この隙がないように見える町田に死角があるとすれば、何だろうか。
一つは、ロングカウンターだろう。ロングスローに限らず、前への圧力をひっくり返されるリスクは、J2よりJ1のほうが大きい。
また、ロングカウンターをファウルで防げば、カードが積み重なる。実際、3節終了時点で町田は20チーム中最多となる8つの警告を受けており、反則ポイントではFC東京に並ぶ13でトップだ。それを恐れて町田が自陣ゴールにバスを置く時間が増えれば、1節の宇佐美貴史のFKのようにスペシャルゴールをぶち込まれる。町田にとっては苦肉の展開でしかない。
町田は前への圧力を、名古屋戦、鹿島戦のように徹底するはず。となれば、他クラブのロングカウンターは、町田の前への圧力を逆手に取るか、失わせるか、それとも潰されるか。ここは一つ、注目のポイントだ。
同時に累積警告による出場停止や、過密日程によるハードワークの陰り、怪我など、リーグ戦ならではのリスクも重なる。そうした事態に備え、町田はスペシャリストを2人ずつ揃えた陣容だが、全く同じとはいかない。上位を突っ走れば、対策を徹底されることも増える。
それらを町田は掻い潜り、前へ進まなければならない。町田から見ても、町田の反対側から見ても、熱を帯びるシーズンになるだろう。
[文:清水英斗]
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