機能性ディスペプシアをご存じですか?胃が弱い人へ薬剤師がアドバイス
胃もたれやみぞおち付近の痛みが続いて病院に行っても原因がはっきりしない場合、その不調の正体は「機能性ディスペプシア」かもしれません。
この記事では、胃やみぞおちなどに痛みを覚える人の約半数が悩んでいるともいわれる、機能性ディスペプシアの症状や原因、解決策をご紹介します。
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1.機能性ディスペプシアとは
機能性ディスペプシアとは、検査で何も異常がないものの、胃もたれやみぞおち付近の痛みなど慢性的におなかの上部に不調が生じる疾患です。機能性ディスペプシアの原因は、生活習慣やストレス、体質など多岐に渡ります。
おなかの不調で病院を受診した人のうち、約半数に機能性ディスペプシアが見つかるといわれています(※1)。聞きなれない病名かもしれませんが、多くの人がかかる可能性のある疾患です。
病院では、問診や胃カメラなどの検査を行い、胃がんや胃・十二指腸潰瘍などの疾患、ピロリ菌の感染がなかった場合に機能性ディスペプシアと診断されます。
1-1.症状と原因
機能性ディスペプシアでは、以下のような症状があらわれます。
<機能性ディスペプシアの症状>
・胃もたれ、胃痛
・満腹感やおなかの張り
・みぞおちの痛み
・胃酸の逆流、胸やけ
・吐き気、ゲップ
ストレスや不規則な生活習慣が原因で自律神経が乱れると、胃や十二指腸の運動異常や胃酸の分泌過多が引き起こされます。
また、このような外的要因以外に、体質や遺伝的要因が原因であることもあります。
2.機能性ディスペプシアは完治しない?
機能性ディスペプシアの治療方法は、主に生活習慣や食事の改善、投薬治療です。
外的要因が関係している場合には、生活習慣の改善と投薬治療を組み合わせます。また、同時に胃酸の分泌過多など胃の不調を引き起こしている場合には、投薬治療で症状を緩和します。
一方、体質や遺伝的要因によって症状があらわれている場合の治療は難しいといわれています。さまざまな原因が重なっていることも多いため、治療によって症状を落ち着かせることはできますが、完治は難しいと考えられているのです。
たとえば、ストレスが原因であった場合、ストレスによって引き起こされる胃や十二指腸の運動異常や胃酸の分泌過多など、直接的な原因は投薬治療で抑えられます。しかし、ストレスがかかり続ける環境であれば根本的な解決はのぞめません。
また、体質や遺伝的要因が原因の場合には、胃の細菌の構成を適正化するなど治療法があるものもあれば、生まれつきの胃の形など根本的な原因に対するアプローチが難しい場合もあります。