月経を知れば生き方も変わる② ~自分に合った方法でPMSや生理をコントロール~
切り取られた情報に踊らされないように
Q :ピルの服用で考えられる副作用とは?
中村:「服用を始めてすぐの頃は、まれに吐き気や不正出血などの症状が出る方がいらっしゃいますが、多くの方は1ヵ月~数ヶ月すれば落ち着きます。他にも、血栓症や乳がん、子宮頸がんに罹患するリスクが高まるという点だけが注目されていますが、その可能性は本当にわずかです。海外の疫学調査では、低用量ピルを服用していない女性が静脈血栓塞栓症を発症するリスクは年間1万人あたり1~5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3~9人と報告されています。妊娠中の静脈血栓塞栓症の発症は、年間1万人あたり5~20人という報告と重ねてみると、妊娠中のリスクの方がはるかに高いことが分かります。ピルに限らず、薬にはメリットもあればデメリットもあり、効果を得るためには薬の飲み合わせを注意したり、生活スタイルや食生活を見直したり、さまざまな視点で捉えることも重要となります。一部の情報に惑わされることなく、医療や薬に対する情報リテラシーを高めて、本当にリスクがあるのか、自分に必要な薬なのかどうか冷静に見極めることが重要だと思っています。」
女性の心と体の健康のために、生理中の不調、PMSの治療のために、さらには、望まない妊娠をしないためにも、低用量ピルの服用を選択肢のひとつとして前向きに捉えてほしいと話す中村先生。次回は、「低用量ピル」について詳しくご紹介します。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
医師 中村 葵(なかむら・あおい)
スマルナ医科歯科レディースクリニックOSAKA https://smaluna-clinic-osaka.com/
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国境なき医師団に憧れ医師を目指し、ザンビア、インドでボランティアや教育支援などを行う中で、避妊や家族計画、予防医療の分野に興味を持つ。その中で、日本においても避妊や性教育の分野で課題が多くあることを知り、2020年4月より、主に若い世代への性教育や避妊へのアクセス改善のため、ユースクリニックの概念を日本に広げるべく活動している。