【医師に相談】手根管症候群とはどのような病気ですか?
[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療(https://okuno-y-clinic.com)]
Q:手根管症候群とはどんな病気ですか?
手根管症候群とは、正中神経という神経が手首の手根管というトンネルを通るときに物理的に圧迫され神経が痛んでしまい指先のしびれや痛み、親指の力が落ちるなどの症状がでる病気です。体中の神経疾患の中で一番頻度が多いと言われています。
更年期の女性に多く、また糖尿病を持っている方もなりやすいです。
Q:「手根管」とはそもそも何ですか?
手根管とは手首の骨(手根骨)と靭帯に囲まれたトンネル状の構造でその中を正中神経が通っています。このトンネルの中には正中神経以外に、筋肉の腱や滑膜組織が含まれており、これらが加齢とともに腫れたり固くなったりすることで神経が圧迫されます。
Q:手根管症候群はどんな症状が出ますか?
手のしびれや腫れなどの異常感覚が特徴的で、夜間から明け方にかけて症状が悪化し睡眠が妨げられます。初期症状は人差し指と中指のしびれから始まり、自転車の運転や編み物といった動作で症状が悪化します。また手首をふることで一時的に和らぐのが特徴です。
症状が進むとしびれや痛みは親指や薬指の親指側にも広がり、ボタンをかける、小銭をつまむ細かい動作が困難になります。また、手でOKサインを作ることができなくなることもあります。また親指の付け根にある母指球の筋肉が痩せ、丸みがなくなりまっ平になります。
Q:手根管症候群は、どうしてなるのでしょうか?
手根管症候群は、手首の手根管内の圧(間質圧と呼びます)が様々な理由で上昇することで、発症します。
手首を使いすぎて腱が腫れる腱鞘炎や、加齢、ホルモンバランスの変化などによって滑膜が腫れると、物理的に正中神経が圧迫されることで症状がでます。また明確な原因が特定できない「特発性」として発症することも多いことが知られています。また、妊娠・出産や更年期の女性が多く生じるのが特徴です。その他の原因として下記のような例が挙げられます。
・骨折などの外傷
・仕事やスポーツで手をよく使う
・血管腫やガングリオン、骨変形などによる正中神経の物理的な圧迫
・肥満
・糖尿病
・甲状腺機能低下症
・透析
・アミロイドーシス
・経口避妊薬の使用
・うっ血性心不全
・ムコ多糖症