【医師に相談】慢性副鼻腔炎という症状を知っていますか?
Q:慢性副鼻腔炎で避けた方がいいことはありますか?
・喫煙
煙草に含まれている物質が鼻の粘膜を刺激し粘膜が腫れてしまうため、炎症をより悪化させます。
・飲酒
炎症した鼻粘膜には毛細血管が増えています。アルコールは血管を拡張させる作用があるため飲酒によって鼻の粘膜が腫れます。
・市販の点鼻薬
市販の点鼻薬の中には、長期に使用すると鼻粘膜を刺激して余計に腫れさせ、より強い鼻詰まりの原因となる物質が含まれることがあるため、安易に常用しない方がいいです。
・海水・お風呂の水
鼻の中に水道水やお風呂の水、海水など人間の塩分濃度と異なる液体が入ると浸透圧で粘膜を痛める可能性があります。自分で調合した塩水やお風呂の水を鼻の中に入れ、自分でオリジナルの鼻うがいをする行為は止めましょう。鼻うがいをする場合は一番刺激の少ない生理的食塩水を使うことが大切です。
・アレルギー
猫アレルギーやハウスダストなどアレルギーの原因物質は浴びないようにしましょう。大掃除や布団掃除なども避けるようにし、アレルギーを引き起こす要因への接触をひかえます。
Q:慢性副鼻腔炎に対して、自分で対策できる方法はありますか?
正しい方法で鼻うがいをすることで、鼻の中の余分な粘液や膿を洗い流し症状の悪化を予防することができます。
鼻うがいの方法
生理食塩水(約0.9%の塩水) を準備します。薬局でも購入できますが自宅で作る場合は、ぬるま湯(約37℃)200mlに対し、食塩小さじ1/2程度が目安です。水道水はそのまま使わず、一度沸騰させてから冷ましぬるま湯にしてから使います。
専用の鼻うがい容器を使って、片方の鼻の穴から液をゆっくりと流し込反対側の鼻の穴や口から自然に流れ出るようにします。このとき口を軽く開けて行うと楽にできます。
Q:慢性副鼻腔炎の治療方法はありますか?
治療は、長期間にわたる抗生物質の投与や手術による粘膜の切除、鼻茸の切除が一般的です。
急性副鼻腔炎は数か月かかるのが一般的です。薬による治療にはペニシリン系の抗生物質を使います。これは副鼻腔炎の初期、膿の色が濃くなってきたときなどに使います。
・抗生物質のマクロライド系
長期間飲んでも副作用が少なく、長期間飲めるので数か月単位で少量使用します。
・去痰薬(痰を切る薬)
粘り気が強い鼻水がサラサラになります。鼻水が粘って詰まっているときに役に立つ薬です。
・ステロイド点鼻薬
アレルギーや炎症を抑える効果があり、腫れている組織が一時的におさまるので使われることがあります。
・デュピルマブ
炎症をおこすサイトカインの働きを直接おさえる作用があります。注射剤で二週間に一度皮下注射をします。自分で注射をする自己注射も可能です。
上記のような薬剤の治療を数か月行っても改善しない場合、手術の方法があります。手術には内視鏡下副鼻腔手術(ESS)といわれる、内視鏡を用いて副鼻腔の状態をモニターで確認しながら、特別な道具を使って副鼻腔の中の炎症や腫れ、ポリープなどを取り除くものがあります。
【※慢性副鼻腔炎への新しい治療】
最近になって、慢性副鼻腔炎に対する新しい治療が開発されて注目されています。これは炎症で生じた異常な血管を減らす方法で、カテーテル治療と呼ばれているものです。
30分程で終わり日常生活に制限なく復帰できるため、入院のする必要がなく受けやすい治療になっています。
Q:慢性副鼻腔炎が完治するまでにどれくらいかかりますか?
慢性副鼻腔炎が完治するまでの期間は治療方法や症状の重さによって異なりますが、数ヶ月~1年以上かかることもあります。
薬物療法では通常2~3か月程度かかりますが重症の場合はそれ以上かかることもあります。手術が必要になった場合は術後、2~3か月程度で鼻粘膜が安定し完治までは半年~1年程度かかります。
Q:慢性副鼻腔炎で鼻が詰まり呼吸がしづらいためよく眠れません。耳鼻科に通い薬はもらっていますが、完全に治す方法は無いと言われました。手術をせずに根本的に治す方法はありますか。
慢性副鼻腔炎の一部の方では炎症がなかなか良くならずに治療が難渋することがあります。そのような場合には、炎症で生じた異常な血管を減らすカテーテル治療という新しい治療法が有効なことがあります。
この治療法は副鼻腔炎に限らずあらゆる慢性的な炎症を治療するために開発されたもので、スタンフォード大学やオックスフォード大学などでも研究されているものです。日本ではまだ保険診療ではありませんが、受けられることができます。
[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]
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