【医師に相談】膝関節血腫とはどのような病気ですか?

タグ: , 2024/7/31

Q:膝関節血腫はどうやって診断しますか?

レントゲンで膝蓋骨や大腿四頭筋腱の変異、また関節液を認めます。超音波やMRIでの血腫の存在の確認により診断が可能です。肥大した滑膜の存在は、反復性関節内血腫の原因として重要な所見です。

図は、反復性血腫に関する論文からの引用です。赤丸で囲った部分に、出血を認めます。出血がひどくなると、図Aのように、単純レントゲンで診断できることもあります。

Q:膝関節血腫はいつ治りますか?何度も繰り返したり、放っておいたりするとどうなりますか?

外傷などで生じた単発の膝関節血腫は、一般的には2週間から3週間ほどで自然に治ります。反復性の膝関節血腫は、より長期にわたる可能性がたかく、数か月ないし数年かかることも珍しくありません。

繰り返し血腫が生じ長期に関節内に血液が溜まっている場合は、血の塊がさらなる炎症を起こし、関節の軟骨などの組織がダメージを受けます。また、炎症がさらなる出血を引き起こすため、長期化する原因になります。

そのような場合は、この後で紹介する選択的血管塞栓術を受けることをお勧めします。

Q:膝関節血腫の治療は?

膝関節血腫の治療としては、以下のようなものが一般的です。

・安静
・血腫吸引(関節内に針を進めて血液を抜く治療)
・圧迫
・アイシング
・鎮痛薬
・抗凝固薬の中止

上記の治療でも効果が無く、出血を繰り返す場合は選択的動脈塞栓術(後述)や手術が選択されます。手術は炎症を起こしている滑膜を切除することが多いですが、確実な治療ではない事、膝関節の機能性が落ちる事が懸念点としては挙げられます。

選択的動脈塞栓術というのは、出血している血管を塞栓(血管を詰める)治療です。特に海外では多く報告があります。図は、反復性血腫に対して、カテーテル治療を行なった症例の報告から、引用しています。

図G黄色の矢印は、肥厚した滑膜に増殖した血管を認めています。黒く染まっている部分が増殖している新生血管で、こちらから出血をしていることが疑われましたので、こちらに塞栓物質を注入して、図Hのように、血管が減少しているのがお分かりいただけると思います。





Q:膝関節血腫を繰り返して困っています。カテーテルによる選択的動脈塞栓術はどんな治療ですか?

日帰りで30分から1時間でできる、負担の少ない治療です。

はじめに足の付け根を局所麻酔して、とても細くて柔らかいチューブ(カテーテルと呼びます)を血管に挿入し、血管の中を膝の近くまで進めて、出血の原因となっている異常な血管を見つけます。その後、その異常な血管に小さな粒子を投与して、出血している血管を塞き止めます。

「血管を塞ぐ」と聞くと怖いイメージを持つかもしれませんが、出血の原因になっている異常な血管だけを塞ぐため、虚血(血液がいきわたらなくなる)のような副作用は生じません。

考えられる合併症としては、造影剤によるアレルギー、術後の疼痛の悪化(数日で治ることが多い)が挙げられますが、重篤な合併症はありません。保険診療で受けていただけます。

[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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