片頭痛(偏頭痛)という症状を知っていますか?

タグ: , 2025/9/30

Q:片頭痛の発作時に自分でできる対処法はありますか

はい、片頭痛の発作が起こったときは、できるだけ早めに対処することが大切です。まずは無理をせず仕事や家事の手を止め、静かな暗い部屋で安静にしましょう。明るい光や大きな音から離れ、目や頭への刺激を減らすことで症状が和らぎやすくなります。

こめかみや額を冷やすと痛みがやわらぐことがあります。冷たいタオルや保冷剤を当てて、血管の拡張を抑えるイメージです。特に下の参考画像にあるように、こめかみや後頭部の血管を冷やすといいです。

こめかみ

後頭部

逆に首や肩が凝っている場合は、負担を感じる程度でなければ温めてほぐすといった対処が楽になることもあります。

痛みが強い場合には我慢せず早めに頭痛薬を服用することも重要です。市販の鎮痛薬でも効く場合は構いませんが、嘔吐してしまうほどの発作時には無理に飲まず、坐薬や医師から処方された点鼻薬・注射薬があればそれらを使用します。とにかく「これ以上悪化しないうちに抑える」ことが大切です。

可能であれば水分補給を心がけ、カフェイン入りの飲料(コーヒーや緑茶)を少量飲むと痛みが軽減する例もありますが、飲みすぎは逆効果なので注意してください。嘔吐がひどいときは無理に飲食せず、点滴が必要なケースでは早めに医療機関で処置を受けましょう。

Q:片頭痛を予防するために日常生活で気を付けることはありますか

片頭痛の予防には生活習慣の改善がとても大切です。以下のようなポイントに留意してください。

■規則正しい生活リズム:
睡眠不足や寝過ぎは片頭痛の誘因になります。毎日できるだけ一定の時間に寝起きし、自分にとって最適な睡眠時間を保つようにします。

■ストレスのコントロール:
ストレスは片頭痛を悪化させる一因です。適度に休息を取り、趣味の時間を持つなど上手に発散しましょう。心身の緊張を溜め込まない工夫が必要です。

■適度な運動習慣:
痛みがないときに軽い運動をすることは体調管理に有効です。散歩やストレッチなど無理のない範囲で定期的に体を動かし、血行を良くしておきましょう。ただし激しい運動はかえってストレスになる場合もあるので、具合と相談してください。

■片頭痛の誘因をできるだけ避ける:
自分にとって頭痛を誘発しやすい要因がわかっている場合は、可能な範囲で避けます。例えば強い光で誘発される人は日常生活でもサングラスや調光レンズの眼鏡、帽子等で明るい日差しを避ける工夫をします。騒音が苦手な場合は耳栓や静かな環境づくりを検討します。アルコールは片頭痛の大きな引き金ですので控えめにし、特に赤ワインなど誘発しやすいお酒は避けましょう。

■頭痛が起きそうなときは早めに休む:
「今日は片頭痛が起きそうな予感がする」といった前兆や誘因に心当たりがある場合、無理せず早めに休息を取ることも予防になります。軽い前兆の段階で市販薬を服用して悪化を防ぐことも一つの手です。

このほか、天候(気圧の変化)や月経周期など自分ではコントロールできない誘因もあります。そういった要因で片頭痛が起こりやすい方は、いつでも服用できる頓服薬を常に携帯し、早めに対処できる準備をしておきましょう。日頃から頭痛の記録(頭痛ダイアリー)をつけておけば、「どんな生活パターンのときに頭痛が起きやすいか」が見えてきますので、予防策の計画に役立ちます。

Q:どんなときに病院を受診すべきですか

「頭痛くらいで病院に行っていいのだろうか?」と悩む方も多いですが、次の場合は医療機関の受診を検討すべきタイミングです。

■頭痛で日常生活に支障が出ているとき:
仕事に集中できない、家事や育児がままならないほどの頭痛が繰り返し起こる場合は、我慢せず専門医に相談しましょう。適切な治療によって痛みを和らげ、生産性を取り戻すことができます。

■市販薬を頻繁に使わざるを得ないとき:
市販の鎮痛剤で対処していても、週に2日以上痛み止めを飲む状態が3ヶ月以上続く場合は受診をおすすめします。鎮痛薬の過剰な使用はかえって薬物乱用頭痛(薬の飲みすぎで起こる慢性の頭痛)を引き起こし、症状をこじらせる恐れがあります。

■これまで経験したことがないタイプの頭痛が起きたとき:
普段の片頭痛と様子が明らかに異なる頭痛を感じた場合も要注意です。例えば、「今までにない突然の激しい頭痛」や「徐々に良くならず日に日に悪化していく頭痛」があれば、念のため検査を受けて原因を調べる方が安心です。特に今まで片頭痛で吐いたことがないのに嘔吐するほどの頭痛になった場合や、手足のしびれ・脱力、呂律が回らないといった神経症状を伴う頭痛が出現した場合は、深刻な病気(脳卒中や髄膜炎など)の前触れの可能性もあります。すみやかに脳神経外科や神経内科を受診してください。

■突然発症した激しい頭痛や危険な症状を伴うとき:
「雷に打たれたような急激な頭痛」(突然後頭部を殴られたような衝撃的痛み)が起きたり、意識がもうろうとする、けいれん、高熱、首の硬直などの症状を伴う場合は、ただちに救急受診が必要です。くも膜下出血や脳炎・髄膜炎など命に関わる疾患が隠れていることがあります。「今まで経験したことのない最悪の頭痛」が来たら、ためらわず緊急対応をとりましょう。

上記のようなケース以外でも、「頭痛が長引いて不安」「鎮痛薬が効かなくなってきた」など心配なことがあれば、一度受診してみることをおすすめします。頭痛専門外来や神経内科では、頭痛の種類に応じた詳しい検査や治療薬の処方が可能です。適切な診断のもとで治療を受ければ、QOL(生活の質)が大きく向上するケースも多々あります。

Q:片頭痛に前兆(閃輝暗点)はありますか?

はい、ありますが、全員ではありません。片頭痛の患者さんのうち、約3割の方は頭痛が始まる直前に「前兆」が現れます。典型的なのは視覚の前兆で、(いわゆる閃輝暗点〈せんきあんてん〉)が徐々に広がっていく症状です。この光の模様は5~60分ほど持続し、その間に範囲が広くなっていき、やがて消失します。すると、それに続いて頭痛が起こり始めます。閃輝暗点が出ている間はまだ頭は痛くないのですが、続いてくる頭痛発作の予兆と言えます。

視覚以外の前兆としては、手足の片側のしびれや言葉が出にくくなるといった症状が現れる場合もあります。これらも一過性で普通は60分以内に消えます。前兆症状自体は時間が経てば治まり、後遺症を残すものではありません。ただしまれに脳卒中など別の病気が前兆に似た症状を起こす場合もありますので、今まで前兆がなかった人に初めてこうした症状が出た場合は念のため医師に相談してください。

前兆が現れたら、「頭痛が来るサイン」ですのでできるだけ安静にして備えることが大切です。光の模様が見えている間に無理をして仕事や車の運転を続けたりすると、頭痛発作が始まったとき対処が遅れてしまいます。可能ならすぐ休憩をとり、頭痛薬を手元に用意しておきましょう。前兆の段階で医師から指示された頓服薬を服用できる場合もありますので、自身の主治医と相談してみてください。

Q:片頭痛は年齢とともになくなりますか?完治するのでしょうか

個人差はありますが、片頭痛は加齢とともに軽減することが多いです。実際、片頭痛は10~30代で発症が増えた後、50代以降になると発作の頻度が減少し、70代以上で片頭痛に悩む人はかなりまれになります。特に女性の場合、閉経に伴いホルモン変動が小さくなるためか中年以降に頭痛が治まってくるケースがよく見られます。

しかし「歳を取れば治る」と言われても、それまで長年痛みに耐え続ける必要はありません。現代は片頭痛に対する有効な治療法が増えており、適切に対処すれば若い頃からでも十分に症状をコントロールできます。

特に最近になって新しい薬剤や治療法が開発されています。「そのうち治るだろう」と放置せず、困っているうちは遠慮なく専門医に相談してください。

Q:片頭痛があり仕事に支障がでています。しかし、授乳中でもあり、薬剤の治療もなかなかできません。薬剤以外で片頭痛の症状を根本的に治療する方法はありますか

片頭痛の治療方法は生活習慣の改善と、内服薬や注射薬などの薬剤がメインでした。しかし、最近になって片頭痛のメカニズムが解明され、頭皮にある血管(浅側頭動脈と後頭動脈)の領域に異常な血管拡張が生じて、その異常な血管が近くの神経を刺激して片頭痛の症状が引き起きるという新しい仮説が提唱されています。これに基づき、「動注治療」という新たな治療法が開発され、普及されています。

<参照>
(1) Sakai F, Igarashi H: Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia 1997 ; 17(1) : 15-22
(2) Takeshima T, Ishizaki K, Fukuhara Y, Ijiri T, Kusumi M, Wakutani Y et al: Population-based door-to-door survey of migraine in Japan: the Daisen study. Headache 2004 ; 44(1) : 8-19
(3) Lipton RB, Scher AI, Kolodner K, Liberman J, Steiner TJ, Stewart WF: Migraine in the United States: Epidemiology and patterns of health care use. Neurology 2002 ; 58(6) : 885-94
(4) 奥野祐次 医師監修:(https://okuno-y-clinic.com/itami_qa/katakori.html)





[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

【関連記事】TFCC損傷という症状をご存知ですか?

【関連記事】こむら返りは「体からの危険信号」?深刻な病気が隠れている可能性も

【関連記事】【医師に相談】グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)とはどのような病気ですか?

「フィットネス」新着記事

『CoCoKARAnext』編集スタッフ・ライターを募集

CoCoKARA next オンラインショッピング

PICK UP ユメロン黒川:寝姿勢改善パッド「nobiraku」 寝ている間が伸びる時間

腰が気になる方!腰まわりの予防に、試してみませんか? 寝ている間が、ととのう時間。 nobirakuはパフォーマンス向上の為の“大人のお昼寝”にも最適!

商品を見る CoCoKARAnext
オンラインショップ

おすすめコラム