【医師に相談】恥骨結合炎(恥骨炎)とはどのような病気ですか?
[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療(https://okuno-y-clinic.com)]
Q:走り終わってから恥骨が痛くてたまりません。調べたら恥骨結合炎を知りました。恥骨結合炎はどんな症状ですか?
主に鼠径部痛、下腹部痛を呈する疾患で男性のサッカー選手など下肢を使うアスリートに多く、グロインペイン症候群として加療されていることがあります。
症状としては鼠径部の柔軟性低下、鼠径部や恥骨部の鈍い痛み・圧痛があり、重症例では走ったり、蹴ったり、方向転換、立ち上がり動作などの日常的な動作でも鋭く刺すような痛みが生じます。非感染性な事が多いですが、感染契機に炎症を来す場合には発熱も伴うことがあります。
Q:恥骨結合炎になる原因は何ですか?
スポーツ以外にも帝王切開などの婦人科手術や泌尿器科手術など骨盤に関する侵襲的処置の合併症としても知られています。恥骨結合には腹直筋や内転筋等の複数の筋肉が付着し、これらの慢性的なストレスによって炎症が起こるとされています。炎症部位には異常な血管が増えています。血管と神経は、対になって一緒に増える性質があるため、痛みが生じます。
■恥骨結合炎・恥骨炎になる原因■
・スポーツ(サッカー、ラグビー、アメリカンフットボール、中・長距離ランナー)
・婦人科・泌尿器科手術
・妊娠・出産
・感染
・外傷
・リウマチ性疾患
・筋肉のアンバランス
Q:診断方法について教えてください。
まず触診にて恥骨結合部の圧痛を確認します。次に非侵襲的な検査として超音波検査を行う事もありますが、炎症像が上手く描出されないことが多いです。MRI検査は骨髄浮腫をよく反映し、恥骨結合の不整や炎症の範囲も把握することが出来、周囲の付着する筋肉の損傷なども把握出来るため診断に必須な検査です。
白い部分が恥骨結合炎
白い部分が恥骨結合炎
また、レントゲン検査やCT検査では恥骨結合の不整や拡がりで炎症の可能性が示唆されますが、初期には変化が見られないことがあります。