生理前・生理中の痒みと更年期との関係性〜原因と対処法を部位別にご紹介〜
[文:フェムゾーンラボ(https://www.femzonelab.com/)]
※本記事は、女性医療クリニックLUNA関口由紀による執筆記事です。
生理前や生理中に全身、特にフェムゾーン(腟と外陰)の痒みを感じる女性は結構います。
これは、女性ホルモンの変動による知覚過敏や、免疫力に低下による肌バリア機能の低下、さらに生理用品による接触性皮膚炎等が原因です。
【関連記事】睡眠中に足がつるのはなぜ?「こむら返り」防止につながる食べ物も紹介
1.全身の痒みとホルモンの関係
妊娠可能な女性は、生理開始2週間前に排卵し、その後2週間は、黄体期と呼ばれます。
この時期女性は、妊娠していなくても、妊娠の練習をしていると考えられます。
それで妊娠を維持するホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加します。
しかし本当の妊娠ではないので、女性ホルモンであるエストロゲンは減少してしまいます。
妊娠維持ホルモンであるプロゲステロンが増加すると、物質を体の中に貯めておく傾向になり、水分代謝も悪くなり浮腫みます。
一方エストゲンが減ると、皮膚の乾燥はすすみます。
さらに脳にもエストロゲンの低下は作用して、感覚過敏になります。
つまり部分的に浮腫んで、部分的に乾燥して、その浮腫みや乾燥を感じやすくなるのです。
さらに妊婦は、胎児を自分の免疫力で攻撃しないように免疫力が低下するのですが、妊娠の練習期間である黄体期も、免疫力も低下します。
この結果、皮膚のバリア機能が低下します。
これらの現象が重なりあって、普段は何ともない衣類とのちょっとした摩擦でも、全身に痒みを感じやすくなります。
2.フェムゾーン(腟と外陰)痒みの原因と対処法
フェムゾーン(腟と外陰)は特に痒みが出やすい部位です。
原因は大きく分けて以下の3つです。
(1)摩擦・乾燥・ムレによる刺激
▼原因
生理用品(ナプキン、おりものシート)の長時間使用によるムレや、下着との摩擦、過度な洗浄による乾燥などによる接触性皮膚炎の発症
▼対処法
清潔・通気性
基本的におりものシートの使用は、生理前2週間前後(排卵日前後)にとどめ、他の時期は木綿のショーツに変更します。
もちろん勝負下着をつける時は、例外です。生理用ナプキントは、2~3時間ごとに交換し、経血を肌に残さないようにします。
生理用ナプキンをやめて、タンポンや月経カップに変更してもよいでしょう。
洗浄・保湿
刺激の少ない弱酸性の洗浄料で優しく洗い、ゴシゴシこすらないようにします。
洗った後は、フェムゾーン(腟・外陰)用の保湿剤で保湿ケアを行うことが大切です。
(2)感染症(雑菌・カンジダなど)
▼原因
過労等による免疫力の低下で、セックスをしなくても、腟内の常在菌のバランスが崩れ、雑菌や真菌(カンジダ菌など)が過剰に増殖することがあります。
▼対処法
強い痒みや、おりものの色・性状・臭いに異常がある場合は、自己判断せずに婦人科を受診しましょう。
(3)女性ホルモンの低下
▼原因
エストロゲンの低下により、腟の粘膜や外陰部の皮膚が薄くなり(萎縮)、乾燥や刺激への防御力が低下します。これをGSM(閉経関連尿路性器症候群)と呼び、痒みや違和感、痛みさらに再発性膀胱炎や性交痛等の症状が起こることがあります。
▼対処法
GSMが疑われる場合は、婦人科や女性泌尿器科・女性外来で、ホルモン補充療法や局所的なエストロゲン製剤の使用など、専門的な治療を相談することが重要です。






