五十肩の症状をご存知ですか?
Q:五十肩になって痛みはおちつきましたが腕が上がりません。このまま上がらないままでしょうか?
五十肩で腕が上がらなくなる理由は2つあります。
一つは痛いために挙げられない。もう一つは関節の袋(ふつうは柔らかくて伸びがある)が固くなってしまう(繊維化する)ために挙げられなくなるためです。
これらの状態はきちんとケアをすればどちらも最終的には改善します。つまり適切に処置すれば「上がらないまま」にはなりません。
痛みが強い時期に重要なことは、まず何よりも早く痛みを治すこと、そして痛みが和らいだなら、負担のない範囲で自分で肩を動かせるようにエクササイズする(セルフエクササイズ)が重要です。簡単なものを以下に紹介しておきます。参考にして下さい。
1.前方に伸ばすエクササイズ
痛いほうの手を机の上に置き、そのまま手を机の奥にすべらせていきます。すると脇がどんどん開いていく形になり、手を持ち上げているわけではないですが、肩が手を挙げたかのような状態になるのがわかります。痛みが出ない範囲まで伸ばしていき、5秒ほど止めて、元に戻します。これを5回繰り返してください。
2.後ろに回すエクササイズ
エプロンのひもを後ろで結ぶ動作のように、痛いほうの手を後ろに持っていきます。痛くない反対の手で痛いほうの手をつかまえて、さらに体の後ろに軽く引っ張って伸ばします。これも痛みが出る手前くらいのところで5秒ほど止める、というのを1日5回してみてください。
後ろに回すエクササイズ
Q:五十肩は再発しますか?反対の肩もかかりますか?
五十肩は一度治ると、同じ肩に再発することは稀です。ただし反対の肩も五十肩にかかることがあります。特に先になった肩をかばうために反対の肩を酷使した結果、反対の肩に負担がかかりそちらも五十肩になるというケースは存在します。
また、糖尿病のある方は五十肩になりやすく、また一度五十肩になると治りにくいことが知られています。糖尿病の方は専門の治療を受けることをお勧めします。
Q:五十肩になって半年が経ちます。放っておいたら治ると言われたのですが一向に良くなりません。何か良い治療法はありませんか?
五十肩には軽症のものと重症のものがあり、軽症であれば治療をしなくても一定の期間(数か月)で治りますが、重症となると簡単には治りません。重症の場合、湿布などの治療もほとんど効果が期待できません。
最近の研究で、五十肩の患者さんの関節包には余計に増えた「異常な血管」ができていることがわかってきました。しかもその血管の周りには神経線維も一緒になって増えていることが報告されています(※4)。この血管と一緒に増えている神経から痛みが生じているものとする説が最も支持されています。
通常の治療で改善が十分ではない場合は、このような異常な血管を標的としたカテーテル治療などの新しい治療法もあります。
(※1)Wolf JM, Green AS. Influence of comorbidity on self-assessment instrument scores of patients with idiopathic adhesive capsulitis. J Bone Joint Surg Am 2002;84:1167-73.
(※2)Bridgman JF. Periarthritis of the shoulder and diabetes mellitus. Ann Rheum Dis 1972;31:69-71
(※3)Hand C, Clipsham K, Rees JL, Carr AJ. Long-term outcomes of frozen shoulder. J Shoulder Elbow Surg 2008;17:231-6.
(※4)Xu Y, Bonar F, Murrell GA. Enhanced expression of neuronal proteins in idiopathic frozen shoulder. J Shoulder Elbow Surg 2012; 21(10):1391-1397.
[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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