2019年流行語大賞ノミネート! 「サブスク元年」を振り返る
シェアエコが浸透した2017〜2018年、サブスクが取り上げられた2019年
井出 「サブスク」が流行語大賞候補にノミネートされましたね。改めて、サブスクがここまで流行ったのはなぜでしょうか。以前から兆しがあったのでしょうか。
杉山 先日も、日本商工会議所の方から「なぜ今年流行ったのですか」と質問されたばかりです。年末に向けて2019年の動向を総括するなかで、私も改めて考えているのですが、そもそもメディアがこぞってサブスク特集を組んだのは、大企業の動きがあると考えています。
井出 最近のサブスクサービスの特徴は何だろうと、私なりに考えているのですが、一つはシェアの概念が進んでいるという背景があるのではないかと思っていまして。
たとえば、月額制でブランドバッグがレンタルできる「ラクサス」があります。昔ならブランドバッグは買って所有するもの、購入したらそこで終わるものだったのが、シェアするという流れができてきているのだな、と。
杉山 井出さんのおっしゃる通りだと思います。
シェアエコという言葉自体は2、3年前から浸透し始めて、今は当たり前になっています。たとえば、自動車や自転車のシェアサービスでは、すでにかなりの数のユーザーがいて、とくに珍しいことではなくなりました。そうしたシェアエコの流れが根底にあって、その一形態として「定額制で、好きなときに利用できる」サービスというイメージが浸透していったのでしょう。
ただ、一般に広く浸透するためには、年単位で時間がかかります。
ラクサスの例であれば「中古のバッグを借りても気にならない」、あるいは月額制で洋服が彼られる「エアークローゼット」の場合は「洋服は中古でも問題ない」という下地ができていたのからこそ、サブスクサービスがユーザーに受け入れられているわけです。そうした土壌がなければ、企業側が「サブスク」という言葉を使うだけで、実際に消費者がついていくことはなく終わってしまうのではないか、と。
しかし、2019年の動きを見ていると、消費者側にも充分に受け入れられている印象を持っています。まだアーリーアダプターの段階かもしれませんが、「私も洋服のサブスク使ってるんです」と言われることも増えて、浸透してきたという印象を持っています。