西日本豪雨 避難生活で防ぎたい「エコノミー症候群」
体育館の硬い床で同じ体勢を取っていると、背中や下半身の筋肉が固まり、血流が悪くなる。
「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回は「エコノミー症候群」についてお話させて頂きます。
先月末から起きた西日本豪雨で多くの方がお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたしますと共に、行方不明の方が一刻も早く救出されることを祈るばかりです。今回の災害により、ご自宅に住むことができなくなり学校の体育館などで避難生活を送られている方々がたくさんいます。猛暑も続いています。身も心も疲弊している中で大変な苦労をしていらっしゃると思いますが、脱水症状など体調の異変を防ぐためにも、ボランティアの方々の助けも得ながら周囲がサポートしなければいけないと思います。
トレーナーの観点で見ると避難生活では「エコノミー症候群」が危惧されます。エコノミー症候群は長時間同じ姿勢を取り続けていることで発症する症状で、正式には静脈血栓塞栓症と言います。 長時間下肢を動かさずに同じ姿勢で座っていると、大腿からひざの奥にある静脈に血の塊（深部静脈血栓）が生じ、その一部が血流に乗って肺の血管を閉塞し、呼吸不全をもたらします。突然死にも至る危険性がある非常に怖い症状です。避難生活を送っている方々は動けるスペースも限られます。体育館の硬い床で同じ体勢を取っていると、背中や下半身の筋肉が固まり、血流が悪くなります。私の知人のトレーナーも被災地でエコノミー症候群を防ぐためにその場でできる簡単な運動を教えています。以下に記してみましたので参考にしてみてはいかがでしょうか。
・立った状態で手首、足首を回す
・その場で足踏みをする
・肘を曲げて伸ばす動作を繰り返す
・肩をすくめる動作を繰り返す
・膝の屈伸運動（スクワット動作）をする
・体幹を捻る運動（回旋動作）をする
「エコノミー症候群」はお年寄りだけでなく、若い人も発症する危険性があります。1、２時間に一度、これらの運動を20～30回するだけで毛細血管が刺激されて心臓の動きが軽減され、全身に血流が流れる動きを助けてくれます。避難生活は我々の想像を超える苦労とストレスがあると思います。一刻も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
高橋 純一（たかはし・じゅんいち）
MLBサンディエゴパドレスで通訳兼コンディショニング補佐を務めた後、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、DeNAベイスターズファーム等でチーフトレーナーとして活動。17年より独立。幅広いストレングス＆コンディショニング領域をアレンジ、シンプル化させ、「俺、最高。」「やってみるをかなえる。」をキーワードに老若男女問わず、自分の肉体の可能性を高め、向上していくサポートを行う。コーポレートコンディショニングという企業のトレーニング意識を変えるコーチングも担う。
J.T. STRENGTH & CONDITIONING コーポレートサイト（http://www.jt-sc.com)
