北の大地で「いのち」を繋ぐプロジェクトがスタート 大阪の子供たちが佐々木ファームに集うわけとは
口にした採れたての生のほうれん草はとても甘く、味の主張が強く、まさに生きているように感じた。
「野菜はモノではなく命。私たちは野菜というモノを食べているのではなく、野菜という命を食べているんです」
そう語るのは東京から1000km離れた北の大地・北海道、洞爺湖の湖畔に14町(東京ドーム約3個分)の農地を持つ佐々木ファームの佐々木麻紀さん。
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「私たちは無肥料、無農薬の野菜にこだわり、家族とスタッフを合わせて15人で野菜という命と日々向き合っています」
無農薬野菜という言葉は近年、非常によく耳にするようになったが「無肥料」は僕自身ほとんど聞いたことがなかった。有機農家はJAS認定を受けている農地が0.5%、申請をしていない農家を含めると全部で2%しかいない。その中で無肥料・無農薬栽培農家は極わずかである。
「とにかく家庭に安全な食材を家庭に届けたいんです。日々、口にするものが人の命を作るんです。私自身、4歳の甥っ子をある日突然、失う経験をしました。その後に家族で農家として命を見つめなおす『いのち』や『生きる』をテーマに野菜と向き合うことを決めました」
佐々木さん曰く、食生活は人間の身体に大きく影響し、遺伝子に刻まれ次の世代へ運ばれるという。
「安全な野菜を食べてもらって、お子さんだけでなく親御さんも含めたご家庭に野菜のストーリーを知ってもらって、野菜と人間の『命』の大切さを知ってもらいたいと考えるようになりました。やりたいことを口に出して様々な方に伝えていたら、大阪の西成で子ども食堂を運営する川辺康子さんと子供たちの夢の実現をサポートをしている一般社団法人チャイルドサポートオーガニゼーション代表の林歳彦さんにお会いすることが出来たんです」
2月の終わりの洞爺湖は日中でも気温は氷点下2度。雪景色が広がる佐々木ファームに子供たちの活気あふれる声がこだましていた。
「今日は大阪から5人の子供を連れてきました。子ども食堂で食事を食べている子たちです。私も佐々木さんと同じ考えでした。子ども食堂に来て、食事をして、はい、終わり!ではなくて、食事を通して、家庭でご両親と子供がどんなかかわり方をしているのか、関係性が良くなって、考え方が変わって、子供も親も成長してくれる、家庭環境が変わる。そこまで見届けたいと思っていた時に佐々木ファームさんの理念を知って、ここに子供たちを連れてきて、野菜を通して『命』や『生きること』の大切さを知ってもらいたいと強く感じました」