帰国子女とインナーチャイルド について

タグ: , , 2020/10/2

[文:一悟術|自分を縛りつけているものから解放され、思い描いた人生を生きる道(https://www.ichigojyutsu.com/)]

はじめに 「帰国子女」がいるのは日本だけ?

 外国で生活していると様々な人種の人達と出逢います。

私が生活をした経験のあるアメリカとエジプトには多くの人種がいました。

アメリカはご存知の通り「人種の坩堝(るつぼ)」と言われる移民大国ですし、エジプトはアフリカ・ヨーロッパ・中東をつなぐ国際中継国です。

この2つの国で暮らしていると各人種の文化が混ざり合ったり、反発したり、組み合わさったりして更に新しい文化が生み出されていくのが分かります。

そこには当然のことながら問題も起きますが、その問題を解決しようとすることで、社会や世界をより良く変えていくイノベーションも起きるのです。

そんな外国で多感な時を過ごした子供達は日本に新しい文化の風を運んできてくれる存在だと思います。

しかし、残念ながら日本には彼らを正しく受け入れ、育んでいく体制が整っていません。

日本で生きていくために外国で身につけた経験や感性を抑え込んでインナーチャイルドになるケースが少なくないと思います。





そもそも、「帰国子女」という言葉は島国である日本独自の言葉である気がします。

英語には帰国子女を表す単語はありません。

自国に多くの人種が生活していたり、地続きで国境を接している国には「帰国子女」という概念自体がなく単語も存在しない可能性があります。

日本が本当の意味での国際化を果たし、世界に貢献していくためには、帰国子女の存在は不可欠だと思います。

彼らが自由に才能を発揮できる環境が求められているのです。

今回は我が子の実体験から帰国子女の多くが直面する問題の一部をご紹介しながら、その解決策を考えていきたいと思います。

1. 友達になるために自己肯定感を下げる


我が家の子供達は小学生の時にアメリカのニューヨークに3年、高校生の時にエジプトのカイロに3年滞在したいわゆる帰国子女です。

夫の転勤でニューヨークに引越した時、長女は7歳、長男は5歳でした。

二人とも現地の小学校に入学して、登校初日から英語だけの学校生活が始まりました。

まず、長女と一緒に3年生のクラスに行きました。

長女と手をつないで教室に入った時、彼女の全身から緊張感が伝わってきました。

自分とは姿かたちが違う先生と子供達から一斉に見られたのですから、緊張しない方が不思議です。

先生が(当然のことながら英語で)「ようこそ。さあ、中にお入りなさい」と言ったので、私は長女を一人残して教室を後にしました。

完全に硬直した長女の姿は今でも覚えています。

私は帰宅してからお迎えまでの間に「英語が全く話せないのに大丈夫かしら?」「泣いているかも」「緊張でお腹が痛くなっちゃったかも、、、でも英語で言えなくて真っ青になっているかもしれない」と、悪い想像ばかりして心配していました。

そしてやっとお迎えの時間になり、教室の前で待っていると、長女はくりくりとした大きな目の女の子と手をつないで笑顔で出てきました。

「お友達になったの!」

嬉しそうに言う娘の笑顔を見た時に全身が脱力して、その場にしゃがみ込みそうになるほどホッとしました。

子供の学習能力とは凄いもので、長女は3ヶ月後には他のアメリカ人の友達とほとんど変わらないほど英語がペラペラに話せるようになっていました。

3年後、日本に帰国することになった時、長女はすっかりアメリカ人の女の子の様になっていました。

帰国して直ぐに神奈川県三浦市の公立小学校の5年生に編入しました。

最初、長女は日本とアメリカの小学校の違いにかなり戸惑ったようです。

特に、友達の多くが「自分はダメだから、、、」と言うのには驚いていました。

アメリカでは自分の好きなところや長所を認めて公言することは当然でしたが、日本でそれをしてしまうと「自己主張が強い」「生意気」と思われてしまうようです。

だから、長女は同級生と友達になるために「私は〇〇ができない。△△もできない」と出来ない事や苦手な事を言うようになりました。

日本人の謙遜や控え目な性質は調和を保つための要素だと思いますが、そこから自己否定に転じてしまうのには問題があると思います。

自己否定は確実にインナーチャイルドを生み出します。

特に真逆の文化で育った帰国子女にとっては大きなトラウマになってしまう危険性があるのです。

今まで良いと思っていた事が友達ができない原因になるとしたら、これほどショックなことはありません。

結局、長女は意識的に自己肯定感を下げるしかなかったようです。

長女が高校生で再び外国に出るまで帰国子女としての自分を抑える生活は続きましたが、その後、彼女がどうやって自分を取り戻していったかは別の機会にお話したいと思います。

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