帰国子女とインナーチャイルド について
2. 男女の距離が遠すぎる
私達家族が生活していた国々では挨拶の時に男女を問わずハグや頬にキスをするという習慣があります。
つまり、日常から身体的に人との距離が近いのです。
それに比べて、日本の社会では男女が触れ合うということがほとんどありません。
そのため外国に比べて男女の区分けの意識が強いのだと思います。
長女がまだ英語が話せない時にアメリカのクラスメイトは男の子も女の子もみんなで助けてくれました。
しかし日本に帰国した当初、国語の音読の時間に漢字が読めない長女は隣の席の同級生に読み方を教えてもらわなければならなかったのですが、男子の同級生達からはあからさまに「あいつの隣は嫌だ」と言われたそうです。
休み時間中も男女が混ざって遊ぶことはほとんどなかったようです。
女子児童と男子児童では遊び方も考え方も全く違っていたからなのですが、実は、男女の区分けが強すぎるのもインナーチャイルドになる可能性があるのです。
人は誰でも内面に女性性と男性性を持っています。
それは身体的な特徴と必ずしも一致するわけではなく、肉体は男性でも心の女性性が強い人もいれば、その逆の人もいます。
子供の頃から身体的な男女を問わず色々な友達と遊びを通して関わることで自然と自己理解が進みます。
男と女という大雑把な区別でその機会を逃してしまうことは自分を理解するチャンスを逃してしまうことにもつながるのです。
小学校の高学年は思春期の入り口にあたる年齢なので男女を意識し始めるのも当然なのですが、長女がいたアメリカの小学校では、男女が一緒に遊ばないということはありませんでした。
意識はするものの、遊びはお互いを観察し理解する良い機会だととらえていたようです。
そして理解が進むにつれて成長に合った関係を築いていきます。
日本に帰ってきてから長女は男の子の友達が全くいなくなってしまいました。
それだけでなく、普通に男の子に話しかけただけで「〇〇はこいつが好きなんだ~」とひやかされたり、からかわれたりしたそうです。
男の子と自由に友達になれないというのも、お互いから学ぶことが多いと知っている帰国子女にとっては辛いことかもしれません。
3. 先生がどう扱っていいか分からない
先生が長女をどう扱っていいか分からなかったことも長女の疎外感を助長したようです。
困ったことがある時に安心して話せる存在が学校にいることで問題も起こりにくくなりますし、問題があるとしても早期解決につながります。
長女の通っていた小学校には帰国子女がほとんどいなかったため、東京などの都心部の小学校とは環境が異なるかもしれませんが、それにしても日本では帰国子女を受け入れる学校の体制がまだまだ整っていないということは言えると思います。
学校によってはスクールカウンセラーがいますが、日本の子供達を対象にしたカウンセリングなので帰国子女には不十分かもしれません。
現在、1年以上海外で生活した帰国子女が毎年1万人以上帰国している状況を見ると、早急に体制を整えていく必要があると感じています。
これまでは帰国子女の悩みは本人の問題として自力で解決するべき事として処理されてきたケースが多いようですが、彼らの悩みの解決を日本の課題として取り組むことで、将来、帰国子女が日本と世界をつなぐ架け橋として活躍しやすくなると考えています。
特にインナーチャイルドを生まない等の帰国子女の心のケアを徹底することは彼らが日本と世界で自由に活躍できる可能性を広がるため、真剣に考えていきたい課題だと思います。
終わりに 日本人は多様性を受け入れるのが得意
日本人は旺盛な好奇心で異なる文化に興味を持ち、それを更に良くして世界に発信してきました。
本来、私達は多様性を受け入れるのがとても得意な民族なのです。
世界中で色々な経験や知識を持って帰ってきてくれる子供達は、日本人が日本人らしく世界に貢献して発展していくための宝でもあるのです。
そんな彼らを過去の日本の型にはめ込んでしまうのはとても勿体ないことだと思います。
帰国子女を「外国育ちの厄介者」として扱うのではなく新しいエネルギーを生み出す原動力として日本全体で育てていくことができれば、日本が抱えている国際化やグローバル化の課題もスムーズに解決に向かうと考えています。
みんなで協力して元気な日本を取り戻していきましょう!
[文:一悟術|自分を縛りつけているものから解放され、思い描いた人生を生きる道(https://www.ichigojyutsu.com/)]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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