伊調馨、内村航平、レジェンド達のモチベーションとは?
東京五輪を目指すレジェンド2人が敗戦を喫したが、その受け止め方は明暗が分かれた。
26日に行われたレスリングのアジア選手権(中国)で女子57キロ級の伊調馨(34)がリオ五輪以来2年8カ月ぶりの国際大会復帰戦で黒星を喫した。準決勝で昨年アジア大会優勝のチョン・ミョンスク(北朝鮮)に4-7で完敗。3位決定戦で勝って銅メダルを獲得したものの、かつての強すぎる絶対女王の姿はなかった。
堅守が伊調の武器だが開始30秒、正面からタックルを受けて先制されると、バックを取られて体を回されて失点を重ねた。それでも試合後の伊調に悲壮感はない。「自分の反応が鈍かった。失点してからがやはり自分は弱い。五輪で5連覇をすると決めてから、厳しい戦いになることは分かっていた。世界が強くなっていることも分かっていたし、そこに追いついていない。気持ちの面でも技術の面でも全て収穫」と振り返った。
課題は分析している。その1つが、構えで「腰が高い」こと。圧勝した初戦では、相手の頭が当たって前歯が折れた。指導する田南部力コーチは「全盛期に比べて腰が3センチ高い」と指摘。ブランクに加え、年明けに両足首を負傷した伊調は「練習量の葛藤もあった。追い込めず難しい」。34歳。調整や試合展開も、これまでのように理想通りとはいかない。
それでも前向きなのは「今はレスリングできることが幸せで、幸せボケしていた」。日本協会の栄和人・前選手強化本部長からのパワハラ問題を乗り越え、外国勢と再び戦い、得たもの方が大きかった。似合わない銅メダルを首にかけ「これまでが…強かったんでしょうね。自分で言うのもなんですけど」と不適に笑う。もがきながらも、前人未到の五輪5連覇へ突き進む女王に迷いはない。