プロ野球のコーチが求められることは選手のメンタルケア

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[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]

 今のプロ野球で活躍する選手たちがコーチに求めていることが年々変わりつつあると感じています。その理由として、スポーツメンタルコーチとして選手のメンタル面をサポートすることもそうですし、プロ野球のコーチから相談を受ける機会も増えてきたからです。そういった事実を通じて私なりの見解を綴りました。

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コーチングを学ぶことなく指導者になる現実

一般的に、監督・コーチから技術的な指導を受けるのがプロ野球の世界だと思います。しかし「名選手、名監督にあらず」という言葉があるように、実際のプロ野球の世界ではコーチが話すことを本気で信じる選手は年々減ってきていると感じいます。それは、私自身が選手のコーチングを通じてリアルな声を聞いているからです。

しかし、逆の立場で考えると見えてくるものがあります。それが、コーチの現実です。選手を引退し、コーチになる方がいます。指導者になるための勉強をせずに指導者になってしまうわけです。言い換えると、学校の先生になるのに教職課程を踏まず、2週間の学校体験もせず、いきなり担任のクラスを持って生徒たちと接しなくてはいけない現実があります。

コーチングや指導者としての勉強をすることなく、突然コーチになるのはとても骨の折れる過程です。球団から何か特別なトレーニングを課せられることもありません。ただ最近だと、一部のプロ野球球団が専門家を招いてコーチングの勉強をしているようです。また、コーチ留学であったり、国内の大学院でコーチングを勉強される方もいます。筑波大に通われた吉井さんはその事例にあたります。

技術指導のプロが増えた

いきなり指導者になった人たちにとっては、自分が経験してきたことでしか伝えることができないのが現実です。自分の経験したことでしか目の前にいる選手をコーチングします。仮に、指導者としてのスキルを上げていたとしても、なかなか選手から信頼されない現実もあります。伝えたい技術論が選手と噛み合うこともあれば、噛み合わないこともあるからです。

選手が目指したい理想と、コーチとして導きたい理想が別々の方向に行くことはよくあります。仕方がないことなのですが、そういったことが起きてしまうとコーチとしての存在意義を失います。どういう存在としてチームのコーチを務めたらいいのか?迷っているのです。

そういった事態を生み出す理由の一つに技術指導のプロが増えたことが挙げられます。

フィジカルトレーナーは一昔前までは殆どいませんでした。今では各球団に1人いるのが現実です。トレーニングに対する考え方も変わり、どの選手も取り入れています。さらには技術指導においても新たな潮流が生まれているのです。ピッチングやバッティングについても、動作解析やデータを駆使した最先端技術を要したティーチング理論が増えました。

つまり、専門的に技術指導をしている人が増えたことで、技術レベル格段に高まってきたのです。その中での事例として150kmを超える投手が年々増えています。それも、大学生や高校生レベルで。教えるプロが増えたことで、プロ野球のコーチとしての役割がどんどん失いつつあるのです。

なので、これから求められるプロ野球のコーチ像、指導者像というのが年々変化してきていると私は感じているのです。

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