【スポーツメンタル】侍ジャパンが最高の教科書、アスリートのための”心理的安全性”

タグ: , , , , , , 2023/10/8

[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]

 パフォーマンス向上を目指すために必要な人材育成や組織作り。監督やコーチ、スタッフとの関係性が、選手のメンタルやコンディションにも影響を及ぼすこともあります。最も大切なことは、チームビルディング(チーム作り)。一般的に素晴らしい才能を持った選手が一人でもいるチームは、ある程度強いチームと言えます。

例えば、MLBで活躍する大谷翔平選手のような才能ある選手ばかりを集めた選抜チームともなると”向かうところ敵無し”のドリームチームだと誰もが考えます。しかし選抜チームだからと言って必ず勝てる最強チームだと一概に言えないもの。日頃のチームで活躍する才能ある選手でも選抜チームだとうまくパフォーマンスを発揮できないということが起こります。普段とは違う環境や人間関係によって心理的な要因が強く影響を及ぼすためです。アスリート自身はもちろん、彼らを支えてチームをリードする監督やコーチが心理的要因を押さえておくことは、持続的に強いチームを作るために必ず役立ちます。今回は、”心理的安全性”についてお話します。

【関連記事】アスリートも要注意、うつ病にも発展する燃え尽き症候群





理想的環境である”心理的安全性”

心理学用語の”サイコロジカル・セーフティー”を日本語に表したのが、心理的安全性。アメリカのハーバード大学で組織行動学研究していたエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念で、世界で最も影響力の高いビジネス思想家50人にも選ばれた経験を持つ人物です。

心理的安全性とは、職場やスポーツなどのチームで誰に何を言っても人間関係が壊れることなく、非難などされることのない環境を指します。チーム内においてチームメンバーの一人一人が、自分の意見や考えを躊躇せずに発言や行動できる安全な場所ということです。

通常なら大人数の中にいると他者の反応に怯えたり、恐怖や不安を感じてしまうものです。それでも羞恥心などを感じることなくメンバーが、チームに安心感を持てている状態は理想的なものです。”チーム内で自分らしく過ごせる状態”そして”チーム内で何の抵抗感もなく、安心して何でも言い合える状態なのです”。この心理的安全性が成り立っているチームは、目標とする達成度(チーム成果)が高いことがわかっています。

逆に心理的安全性が不足していると『無知だと思われる不安』『無能だと思われる不安』『邪魔をしていると思われる不安』『ネガティブだと思われる不安』という行動特性が現れ、メンタル面で不安を抱えやすくなります。メンタルを安定させ、パフォーマンスを向上させるために率直に何でも言い合える理想的な環境”心理的安全性”が必要なのです。

良いチームを作る”効果的な5つの要因”

Google社が実施した社内調査『プロジェクト・アリストテレス』がきっかけで注目され始めた心理的安全性。高い業績をあげ、それを維持できたチームの条件を突き止めるのが目的のプロジェクトでした。

調査の結果明らかになったのは『生産性が高いチームは、心理的安全性が高い』ということです。そして効果的に”良いチームを作る5つの要因”が見つかりました。

まず1つ目に”心理的安全性”です。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対して非難されるリスクを恐れずません。そのため、積極的な質問や斬新なアイデアを出し合うことができます。

2つ目に”相互関係”。信頼関係の高いチームのメンバーは、クオリティの高い仕事でも時間内に仕上げることができます。チームで過ごす中で「このメンバーなら引き受けたことは最後までやり通してくれる」と信頼しあえることがメンタル面で安心を与えるためです。逆に信頼関係の低いチームのメンバーは、ネガティブに責任転嫁するなどスムーズに仕事が進まない要因にもなり得ます。

3つ目に”構造と明確さ”。良いチームは、目標を達成するまでのプロセスをチームの個々のメンバーが理解しています。個人とチームのどちらの目標であっても短期的なものと長期的なものを設定し『有効となる意思決定やプロセスがある』と感じられる環境を作ることが大切です。

4つ目に”仕事の意味”。良いチームを作るためには、仕事そのものや成果に対しての目標意識を感じられる環境を作る必要があります。『チームのためにできることを精一杯している』とチームのメンバーが意義を感じている環境が理想的です。

5つ目に”インパクト”。『自分の行っている行動には意義がある』とチームメンバーが感じられるかが重要です。そしてチームの心理的安全性を高めるためにエイミー・エドモンドソン教授が推奨している簡単な取り組みもあります。仕事は、実行の機会ではなく”学習の機会”と捉えること、”自分も間違う”ということを認めること、”好奇心を形にし積極的に質問する”ことでした。個人が意識して取り組む事でチームとしてのパフォーマンスを向上させることができるのです。

「モチベーション」新着記事

『CoCoKARAnext』編集スタッフ・ライターを募集

CoCoKARA next オンラインショッピング

PICK UP 【期間限定販売】浅倉カンナ ラストファイトメモリアル 拳トロフィー

浅倉カンナの左拳を本人から腕型を採取し、トロフィーとして完全再現させていただきました。 血管やしわの細部までに忠実に再現した、大変貴重なトロフィーとなります。

商品を見る CoCoKARAnext
オンラインショップ

おすすめコラム