石川遼が劇的復活勝利「落ちるところまで落ちて、優勝は不可能だと思っていた」
若いころに比べたら…
驚くべきスピードで、スーパースターへの階段を駆け上がった。15歳で優勝、16歳でプロ転向し、18歳で史上最年少賞金王。怖いもの知らずの攻めゴルフは、ファンを熱狂させた。21歳で10勝の実績をひっさげ、アメリカに乗り込んだ。だが世界最高峰ツアーの壁は厚く5年間で未勝利。スイングもメンタルも崩れ、戻った国内でも思うような成績を残せずにもがいていた。
苦悩を振り返る。「若いころは、ミスすることを考えてなかった。当時に戻りたいと思っても戻れない。今はいろんなミスが怖いとか、こういっちゃったらどうしよう、というさまざまな思いがある。正直10年前よりもきつい」と心情を吐露。代名詞であるドライバーを曲げてはいけない強迫観念にさいなまれ、一時はドライバーを持つこともやめたほどだ。
「若いころは、ミスすることを考えてなかった」
それでも今大会は、かける思いが違った。開催地の鹿児島が記録的な大雨の影響を受け、男子プロゴルフツアー選手会長として「命に勝るものはない。雨がやんでも、避難勧告が出ている以上は開催は難しいのでは」と選手を代表して大会主催者らに意見した。批判や不安の声も聞こえるなか、ゴルフを通して少しでも明るい話題を届けたい思いもあった。初日中止後、強行開催となり「やるからには絶対に盛り上げなきゃいけない。結果で恩返ししたかった」という並々ならぬ覚悟があった。
「アイアンが乱れて(最終日、首位と)7打差まで開いて、あんなにひどい内容でもあと20ホール以上、回らないといけなかった。こんなはずはないと思う自分と闘っていた。そこから応援してくれたファンのみなさんの力で戻ってこられた。なんとか自分もあきらめないで、挑戦者の気持ちで1打1打やっていけば、できるんだなと実感できたんで、本当にいい経験になりました」。
自分の弱さと向き合い、受け入れた27歳。被災地のためを思い、最後まであきらめない姿勢が呼んだ逆転劇は、人々の心に深く刻まれた。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]