【セルフハンディキャッピング】つい言い訳してしまう人の心理とは
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]
皆さんは失敗や周囲からの評価が下がることを恐れるあまり、成果が出る前から弁解に走ってしまったという経験はありますか?誰しも自分に対する評価の悪化は好ましいことではないでしょう。しかし、周囲に対して自分を低く見せることは、最終的には自身の本質的な実情に伴わない結果を生みかねません。
そこで、この記事ではそんな自己を低く見せて周囲の評価を得ようとする行動であるセルフハンディキャッピングについて特徴やメリット・デメリット、克服する方法について解説します。また、アスリートの抱えやすい慢性痛とセルフハンディキャッピングに関係性についても解説します。
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セルフハンディキャッピングとは
セルフハンディキャッピングとは、わざと自己に制約やハンデを課す行為のことです。 具体的には、本来なら目的のために全力を尽くすべきなのに、敢えて自分自身に不利な条件を与え、結果が出にくくなるような要因を作ります。 例として、重要な試験の前に意図的に時間を無駄に過ごしたり、他の優先事項に取り組んだりするといった行動があげられます。 セルフハンディキャッピングの目的は自身のプライドを守るために、劣等感や自己評価の低下を回避することです。 また、成功や失敗の原因を外的要因に押し付けることで自己肯定感を保ったり、自己の能力に対する疑念を払拭する効果もあります。
セルフハンディキャッピングの特徴
セルフハンディキャッピングは客観的な視点で捉えると自らの保身を優先させる行為として映りやすいことから、ネガティブな印象を抱く方も多いのではないでしょうか。 しかし、意外なことにセルフハンディキャッピングには成果に近づくためには欠かせない価値も存在します。 そこで、ここではセルフハンディキャッピングの特徴をメリットだけでなく、デメリットも含めて解説します。
セルフハンディキャッピングのメリット
セルフハンディキャッピングのメリットには以下のようなものが挙げられます。
・自己肯定感の維持
セルフハンディキャッピングのメリットとして自己肯定感の維持が挙げられます。 高い自己肯定感は、ものごとや感情を受け入れ、自らをコントロールする原動力となります。 失敗の原因は自分が劣っているわけではなく取り巻く原因にあると考えることで、物事を前向きに捉え次の行動までのタイムラグを減らすことができます。 また、万が一、十分な成果を生むことができた場合は「自分は能力が高いから逆境でも成果を生むことができた」と考え、自己肯定感をさらに高めることができます。
・自身に対する評価の保護
場合によっては自身に対する社会的な評価の保護も見込めるでしょう。 周囲からの批判や評価に対して、特定の事情により結果が振るわなかったと発信することで評価へのダメージを軽減することができます。 ただし、多くの場合ではセルフハンディキャッピングによる評価の操作は一時的なものに終わるでしょう。 高い公平性や一貫性を持った評価指標の中では、バイアスのかかりやすい評価主体そのものによるは意味をなさないでしょう。
セルフハンディキャッピングのデメリット
セルフハンディキャップのデメリットには以下のようなものが挙げられます。
・本来の成果が出せない
自ら不利な条件を課すことで、本来の能力や潜在的な成果を十分に発揮できなくなる可能性があります。 また、自己の成長やパフォーマンスの向上に制約がかかることがあります。
・自己効力感の低下
セルフハンディキャッピングが習慣化すると、自己効力感の低下に繋がることがあります。 自己の能力に対して疑念を抱くようになり、挑戦や新たなチャレンジを避ける傾向が生じる場合があります。
・周囲に対して不信感を与えてしまうことがある
特に、チームプレーの競技をしている場合は、周囲からの信頼や評価にも影響を及ぼす可能性があります。 セルフハンディキャッピングを頻繁に行うことで、他者からの評価や信頼を減少させることがあり、人間関係や社会的な成功に悪影響を及ぼすことがあります。