「グレイシー一族に恨まれ続けた」元PRIDE戦士のコロナ禍で前進するためのポジティブ対談 『困難を正面から乗り越えていけばいくほど人間は強くなる』

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登ることより帰る事が最大の目標

大山 先ほどヒマラヤ登山の話をししたが、シェルパと2人で登るからこそなのか、小西さんは人を見る目もとにかくスゴいんですよね。

小西 人は性格は95%ぐらい顔に出でますね。私は「顔は人生の看板だ」といっているんですが、人を判断するには顔しかありません。
何を見るかというと、一番は「危険性があるかないか」。次に「信頼できるかどうか」、同時に「好感が持てるかどうか」。大体これに生き方が出ます。

大山 自分の状態を知るときも顔を見ればわかるといったことはあるんですか?

小西 それはあります。何を見るかというと額です。
例えば、脳が明るいと額につやが出ます。逆に額につやがない時、曇っている時は、本人は正確な判断ができると思っていても脳が大体混線、コンフューズしているんです。そんな時は判断を失敗してしまいます。

大山 今なんか特にコロナとか、お金とか、仕事とかいろんなことで悩むというか、脳が混戦している人も多いと思うんですが、そんな人はどうしたらいいんでしょう?

小西 コロナはいわば人生の困難ですよね。人生の困難として、生老病死、愛別離苦、四苦八苦、とかあるわけですが、コロナも同じです。ただ人はこれをなんとしても乗り越えなければいけない。としたら頭をやわらかくしていかなければいけないわけです。根性で乗り切ろうとしたり、何かに固執したり、執着したりしてはいけないんですよね。

大山 なるほど、それを聞いて思い出しましたが、前に小西さんは豪傑な人、無敵な人は大体死ぬって話をしてくれました。その時に大事になるのが目標設定だと言っていましたね。

小西 そうですね。例えばあと30分でエベレストの頂上だというとき、往復で1時間、でも帰りは吹雪になりそうで、そうなると帰ってこられない。こういう時に「俺は帰ってこられなくてもいい」「死んでもいいから突っ込むんだ」といって、実際にアタックしてしまう人はいるんです。それで凍傷になり、指や腕を失いながらも生還して「豪快ですね」「無敵ですね」と言われる。
でも、そんな人は長生きできません。なぜなら、その時のアタックした成功体験が脳に残ってしまい、また翌年もそのまた翌年も8000メートル級の山に登り、また突っ込んでしまう。これをやった人間は10年も長生きできないか、動けなくなるほどの重傷を大抵負ってしまいます。

大山 引き返す勇気。「帰る事」が最大の目標なんだから、一回引き返そう……。僕なんか突っ込んでしまうタイプなので、この考え方は響きます。

小西 そうなんですよ。目標の設定の仕方が大事。富士山に登る人に「どこがゴールですか」と聞くと、みなさん「頂上です」というんですね。
でも、頂上というのはあくまで通過点でしかないんです。登ったら降りるのがあたりまえですから。じゃあ、実際にどこがゴールかというとやっぱり「家」なんです。
例えば、富士山に登って、五合目から車で帰えるとします。でも途中の中央自動車道で疲れから居眠りをして、事故を起こして死んでしまいました。これも「失敗」ですよね。
結局、登山の場合、自分の家に五体満足で帰ってくるのがゴール、第一の目標なんですよ。特に命のかかわるスポーツなどはそうです。
格闘技でも「あしたのジョー」のように灰になってしまってはいけないんです。大山さんも毎試合、毎試合ボロボロになって戦っていましたが、あれは危うかった。

大山 確かに、そうですね。小西さんの話を聞いていると引き返すことが「ネガティブなこと」じゃないんですよね。結果、ポジティブになことだから……。気を付けたいのは、「ポジティブ」を履き違えてしまうことですよね。「勇気」と「無謀」は全くの別物ですから。

小西 そうですね。あとはコロナ禍でもそうですが、「最悪な状況はどんな状況ですか?」とうことをシミュレーションしなければいけないですね。
山だったら「死ぬ」ということが最悪極まりないことですから、これを絶対避けなければいけない。そこからの組み立てになってくるんです。





大山 僕が現役で一番足りなかったことかもしれないですね。いいイメージしかしていなかったですもん。で、毎試合ボロボロになって……(笑)

小西 ボジティブは絶対に必要なんだけれど、リアリストじゃなければいけないよね。
ましてや、ほかの人の命もかかっているとしたら、極めて慎重にならなければいけない。
もちろん頂上が取れるときは絶対に取りにいかなければいけない。でも、できるムリとできにないムリはリアリストになって見極めなければいけないんですよ。それがプロかどうかの違いです。

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