働く世代から始める!サルコペニア・フレイル予防
サルコペニア・フレイルって?
皆さんはサルコペニア・フレイルという言葉を知っていますか。最近はテレビやメディアでも耳にすることもあるのではないでしょうか。
サルコペニアとは、加齢や生活習慣などの影響により、筋肉が急激に減少してしまう状態をいい、診断基準があります。フレイルとは、要介護状態に至る前段階で、身体や心の働き、社会的な繋がりが弱くなった状態をいいます。フレイルはサルコペニアとは違い、診断基準はありません。
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サルコペニアには、測定器を使わずに自分の筋肉量が把握できる簡易的なチェック方法があります。それが「指輪っかテスト」です。
【指輪っかテストのやり方】
1.安定した椅子に座る
2.両手の親指と人差し指で輪を作る
3.素肌を出し、利き足でないふくらはぎの一番太い部分を、力を入れずに軽く囲む
脚と指で作った輪っかの間にすき間ができる場合、指で囲めない場合と比べて将来サルコペニアになるリスクが2倍以上高いといわれています。(参考文献①)
サルコペニア・フレイルは高齢者の課題であると捉えがちですが、若い方でも痩せや筋力低下を放置すると、将来サルコペニア・フレイルのリスクが高まる可能性があります。
働く世代である今から、サルコペニア・フレイル予防を始めていきましょう!
サルコペニア・フレイル予防に必要な栄養素
サルコペニアやフレイルを予防するために必要な栄養素は何でしょうか。
まず、筋肉の材料となるたんぱく質です。こちらは分かりやすかったのではないでしょうか。実は、たんぱく質以外にも筋肉量の維持に欠かせない栄養素があります。それはエネルギー源となる脂質と炭水化物です。そして、これらの栄養素が身体の中でうまく働くために必要不可欠であるのが、お助け役となるビタミンやミネラルです。
それでは、それぞれの栄養素がなぜ必要であるのかを解説していきます。
筋肉は合成と分解を常に繰り返しています。主に空腹時や運動していない時、睡眠時などは分解が上回っている状態です。逆に、運動前後にしっかりと栄養を補給している状態では、筋肉は合成に傾きます。筋肉の維持・増強には食事と運動が大切です。
食事に関しては、その質も重要といわれています。人間の身体はエネルギーが不足すると、体脂肪だけでなく、筋肉も分解してエネルギーを補填しようとします。従って、たんぱく質だけを摂取することが良いわけではなく、身体のエネルギーとなる脂質や炭水化物も一緒にバランス良く摂取することが大切です。
しかしながら、いくら筋肉の材料となるたんぱく質や、エネルギー源となる脂質や炭水化物を摂取しようと、それらを摂取しただけでは身体の中で上手く利用できないのです。
そこでビタミン、ミネラルの登場です。ビタミンやミネラルは、たんぱく質や脂質、炭水化物が身体のエネルギーや筋肉を作り出す際に潤滑油として手助けをする役割があります。
また、ビタミンにはそれぞれ働きがあります。まずビタミンB1は、炭水化物を分解し、エネルギーへ転換するために重要な役割を果たします。次にビタミンB2は、脂質をエネルギーに転換する際に欠かせないビタミンであり、その他にも肌や髪を美しく保つ美容のビタミンでもあります。続いてビタミンB6は、たんぱく質の分解や再利用に欠かせないビタミンです。トレーニングをしている多くの人は、たんぱく質の次にこのビタミンを大切にしています。最後に、最近注目を浴びているビタミンDは、骨や免疫力を強化するビタミンといわれています。ここ数年の研究では、筋肉に対しても重要な働きをしているのではないかといわれています。
ここまではサルコペニア・フレイル予防に必要な栄養素について解説しましたが、たんぱく質においては、摂取するタイミングも重要であることが最近の研究で解明されつつあります。ある研究では、筋力を維持するためには、豆類や卵、魚介類、乳製品などの、“質の良いたんぱく質”を“朝食”に摂取することが重要であるということがわかっています。日本人は海外と比較して、朝食のたんぱく質摂取量が少ないといわれており、朝からしっかりと食べることもサルコペニア・フレイル予防のためのポイントの一つです。