【医師に相談】群発頭痛という症状をご存知ですか?

タグ: , 2026/2/13

[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療(https://okuno-y-clinic.com)]

Q:群発頭痛とは何ですか?直接の死亡原因になるリスクなどありますか?

群発頭痛(ぐんぱつずつう)は、片側の目の奥から側頭部にかけて生じる耐え難いほどの激しい頭痛です。その痛みは数ある頭痛の中でも最も激しい部類で、あまりの激痛から「自殺頭痛」と呼ばれることもあります。発作中はあまりの痛みにじっとしていられず、頭を抱えて部屋の中を歩き回ったり、あまりの苦しさに壁に頭をぶつけたくなるような衝動に駆られることさえあります。

群発頭痛発作時には顔面が片側だけ紅潮することがあります。激痛により自律神経が乱れ、発作側の頬が赤くなることも特徴です。痛み自体が直接の死亡原因となることはありませんが、激痛による精神的な追い詰められ感は非常に強く、適切な治療をしないと日常生活に大きな支障をきたします。決して命に関わる疾患ではありませんが、放置すれば「生きた心地がしない」苦痛が続くため、早めに専門医の診察・治療を受けることが大切です。

群発頭痛という名前は、一定の期間(群発期)に頭痛発作が集中して起こることに由来しています。群発期には1~3ヶ月ほどの間、ほぼ毎日決まった時間帯(特に深夜から明け方)に激しい頭痛が発生します。群発期が過ぎると頭痛が嘘のように消失し、数ヶ月~数年間は発作が起こらない寛解期に入ります。このように「発作が群発する時期」と「何年も症状が出ない時期」を繰り返すのが群発頭痛の大きな特徴です。

日本では群発頭痛の有病率は人口1000人あたり0.4~1人程度と推定されており、片頭痛に比べるとかなり稀なタイプの頭痛です。典型的には20~40代の男性に多く発症し、特に30代での発症が目立ちます。また喫煙や飲酒習慣のある方に多いという報告もあります。

いずれにせよ極めて激烈な痛みを伴う頭痛ですが、適切に対処すれば命に直接関わる心配はありません。しかし痛みが強烈なあまり思わず自傷行為に及んでしまう危険性もありますので、やはり専門的な治療を受けてしっかり痛みを抑えることが重要です。

動画でも解説しています。

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Q:群発頭痛はどんな症状ですか?

群発頭痛には極めて特徴的な症状があり、その症状から他の頭痛と明確に区別できます。以下に群発頭痛の代表的な症状を示します。

激烈な片側の痛み
痛みは必ず頭の片側に起こり、特に目の奥からこめかみ(側頭部)にかけて「えぐられるような」「焼け火箸を刺されたような」と表現される激痛です。一度の発作は15分~3時間程度持続し(多くは1~2時間)、治療しないと1日に1~8回も繰り返されることがあります。発作が起きている間はあまりの痛みに横になって安静にすることすら困難で、体を前後に揺さぶったり歩き回ったりしてしまうほどです。

痛みと同じ側に出現する自律神経症状
群発頭痛では頭痛が起こっている側と同じ側の目や鼻に、自律神経の異常による症状が現れます。具体的には 目の充血・流涙(涙がポロポロ出て止まらない)、鼻づまり・鼻水、まぶたの腫れ・下がり(眼瞼下垂)、顔面の発汗、瞳孔の縮小(縮瞳) といった症状です。これらは頭痛発作に伴って起こり、頭痛が治まると自然に軽快します。普段はまず起こらない症状なので、強い頭痛と同時にこのような症状が片側だけに出現すれば群発頭痛の可能性が高まります。

一定の周期・時間帯に起こる
群発頭痛という名前の通り、多くの場合は毎年決まった季節や時期に集中的に頭痛発作が起こります(例えば「毎年秋になると1ヶ月間毎晩のように痛む」等)。一度群発期に入ると、その期間中はほぼ毎日、同じような時間帯に痛みが走るのが典型的です。特に夜間~明け方の睡眠中に発作が起きやすいことが知られています。このように発作の起こり方に規則性がある点も群発頭痛の症状上の特徴です。群発期が終わればウソのように頭痛が消える(寛解期に入る)ため、発作が起きていない時期には身体所見上はほぼ正常に過ごせることも、片頭痛など他の頭痛と異なるポイントです。

Q:群発頭痛と他の頭痛はどう違いますか?

群発頭痛は、その症状や起こり方が他の頭痛(片頭痛や緊張型頭痛など)と大きく異なります。他の代表的な頭痛である「片頭痛(偏頭痛)」や「緊張型頭痛」と比較すると、以下のような違いがあります。

片頭痛(偏頭痛)との違い
一般に片頭痛は女性に多いのに対し、群発頭痛は男性に圧倒的に多い傾向があります。片頭痛の痛みは4~72時間じわじわ続くことが多いですが、群発頭痛の発作は15分~3時間と比較的短時間で収まります。また片頭痛発作中の患者さんは動くと悪化するため静かにじっとしていたいことが多いですが、群発頭痛発作時は痛みで居ても立っても居られず動き回ってしまう点でも対照的です。

さらに片頭痛は発作のタイミングが不規則(ストレスや天候など誘因はあるが発症パターンはまちまち)なのに対し、群発頭痛は文字通り群発期に集中し毎日ほぼ決まった時間帯に起こるなど、発作の起こり方にも大きな違いがあります。

緊張型頭痛との違い
緊張型頭痛はいわゆる肩こり・首こりに伴う頭痛で、頭全体を締め付けられるような鈍い痛みが特徴です。一方、群発頭痛は頭の片側に限局した激烈な痛みなので、痛みの部位と強さがまったく異なります。緊張型頭痛は痛みが比較的軽度で日常生活を何とか続けられるケースが多いですが、群発頭痛はとてもではないが仕事や家事どころではなく、発作中は何も手につかないレベルの激痛です。緊張型頭痛は慢性的にダラダラ痛む傾向がありますが、群発頭痛は先述のように群発期以外はケロッと症状が消える点でも異なります。

Q:群発頭痛の原因は何でしょうか?

群発頭痛の正確な発症メカニズムはまだ完全には解明されていません。しかし近年の研究により、脳の視床下部という部位の機能異常が中心的な役割を果たしていると考えられています。視床下部は体内の概日リズム(いわゆる体内時計)を司る場所で、群発頭痛が毎日決まった時間に起こりやすいことや、毎年同じ時期に発症しやすいことと関連しているとされています。実際、PETという脳の機能を調べる画像検査では、群発頭痛の発作中に視床下部の後部が活性化していることが確認されています。つまり脳内の視床下部の過剰な興奮が引き金となり、群発頭痛の発作が起こると考えられています。

では視床下部の興奮がどのように激痛を生み出すのでしょうか。現在有力な説では、視床下部からのシグナルで三叉神経(顔面の感覚を司る神経)が活性化され、その結果として頭蓋の内外を走る血管が拡張し、炎症が生じて痛みが発生すると考えられています。同時に視床下部の刺激で副交感神経も活発になるため、先に述べたような涙や鼻水、眼瞼下垂などの自律神経症状が頭痛と同側に現れるのです。まとめると、「視床下部」→「三叉神経」→「血管拡張と炎症」→「激痛」という経路が群発頭痛発作のメカニズムだと考えられます。

また、群発頭痛にはいくつか発作の誘因(きっかけ)が知られています。中でも有名なのはアルコールで、群発期には少量のお酒でもほぼ確実に発作を誘発してしまいます。特にビールや日本酒、ウイスキーなどアルコール度数の高いお酒は要注意です。この他にもニトログリセリン(狭心症の治療薬で血管拡張作用があります)などの血管拡張薬、シンナーやガソリン、香水といった強い匂い、急激な気圧の変化(飛行機の離着陸や高地への旅行など)、不規則な睡眠(特に昼寝)などが誘因として報告されています。興味深いのは、これらの誘因は群発期にのみ発作を誘発し、寛解期には同じ刺激を与えても発作が起きない点です。特にアルコールに関しては群発期には必ず発作を引き起こすため、群発期の禁酒は必須と言われます。

また、最近になって群発頭痛の痛みの発生源として、こめかみや頭皮の血管、特に浅側頭動脈(せんそくとうどうみゃく:英語ではSTA)が重要であることがわかってきました。STAという血管が拡張すると、強い痛みの信号が送られることが研究でわかっており、その痛みを抑えるためのSTA動注という新しい治療が開発されています。

Q:群発頭痛になりやすい人はどういった特徴がありますか?

群発頭痛は比較的稀な疾患ですが、患者さんの傾向として特定の特徴がいくつか知られています。まず性別では男性に圧倒的に多いことが挙げられます。かつては患者の約85%が男性ともいわれていましたが、近年では徐々に男女差が縮まりつつあり、女性の群発頭痛患者さんも決して珍しくありません。年齢層では20~40代での発症が多く、特に30代前後で初めて発作が起こる例が目立ちます。

また群発頭痛の患者さんには喫煙習慣のある方が多いことが知られています。実際、群発頭痛患者の喫煙率は一般人に比べて高いという報告があり、何らかの形で喫煙が発症に関与している可能性があります。さらにアルコールも発作の誘因となるため、日常的にお酒を飲む方に多い印象があります。

ただし、上記はあくまで統計的な傾向です。例えば女性でも群発頭痛になることがありますし、タバコやお酒を一切やらない人が発症するケースもあります。「自分は男性で喫煙者だから注意しなければ」といった視点も大切ですが、女性や非喫煙者でも油断はできないことを念頭に置き、症状に思い当たる場合は早めに医療機関を受診すると良いでしょう。

Q:群発頭痛はどのように診断しますか(診断基準はありますか)?

群発頭痛の診断では、まず患者さんの症状経過や発作パターンを詳しくうかがう問診が何より重要です。先に挙げたような特徴的症状(片側眼窩部の激痛と自律神経症状、決まった時期に集中して起こる等)が揃っていれば、症状だけで比較的容易に診断がつきます。

国際頭痛分類第3版 (ICHD-3) では、群発頭痛の診断基準として以下の条件が示されています。

A. 基準B~Dを満たす激しい片側性の頭痛発作を5回以上経験

B. 治療しなかった場合、発作が15分~180分持続する

C. 発作時に以下の少なくとも1つの症状を伴うこと(頭痛と同じ側に起こる):
(1) 結膜充血または流涙
(2) 鼻閉または鼻漏
(3) 瞼の浮腫(まぶたのむくみ)
(4) 額部・顔面の発汗
(5) 縮瞳または眼瞼下垂(瞳孔が小さくなる、まぶたが下がる)
(6) 落ち着きのなさ、または興奮症状

D. 発作の頻度は1日おき~1日8回まで認める

E. 他の疾患による頭痛ではない(※他に適合する診断がない)
専門的な基準を書きましたが、要するに「片側の目の奥が激しく痛み、鼻や目の症状を伴い、発作が短時間で繰り返す」といった所見があれば群発頭痛と診断されます。多くの場合、問診で典型例かどうかを判断できますが、初めて群発頭痛様の症状が出た場合や症状が典型的でない場合には、念のためMRIやCTなどの画像検査を行って脳腫瘍や脳血管の奇形など他の病気が隠れていないか確認することが重要です。

特に下垂体腫瘍(脳下垂体の腫瘍)や海綿静脈洞の病変は、群発頭痛に似た症状を引き起こすことがあるため注意が必要です。こうした鑑別のため、必要に応じて画像検査を行い、他の疾患が否定され、なおかつ症状が国際的な診断基準に合致すれば群発頭痛と診断されます。

診断の際には、頭痛ダイアリー(頭痛日記)をつけておくことも有用です。いつ頭痛が起き、その時どのような状況だったか、痛みの強さ、試した対処(薬を飲んだか、効果はどうだったか)などを書き留めておき、受診時に医師に見せると診断の助けになります。

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