両者の納得点を探す? 自分も相手も尊重する表現方法
アサーティブな表現
臨床心理士の深瀬と申します。企業研修、職場環境改善などを中心に活動しています。今回は、自分も相手も尊重する表現方法(アサーティブな自己表現)についてお伝えします。
自分の感情を抑える、あるいはその逆に相手を従わせるのではなく、自分を大切にして、かつ相手も大切にする表現方法をアサーティブな表現と言います。
例を挙げましょう。
・人から何かを頼まれた時、相手の状況を考慮し、そのうえで納得してその依頼を受け入れる。
⇒(自分〇、相手〇) これはアサーティブと言えます。
・人から何かを頼まれた時、引き受けたくないのに我慢して引き受ける。
⇒(自分×、相手〇) これはアサーティブと言えません。
・人から何かを頼まれた時、自分の状況や気持ちだけを優先して、相手の依頼を断る。
⇒(自分〇、相手×) これはアサーティブと言えません。
人から何かを頼まれた時、「○○さんはとても忙しそうだ。自分は今日は少し時間があるから手伝おう。」と、心からそう思い、納得して依頼を引き受けるなら、それはアサーティブと言えます。
アサーティブな自己表現では、コミュニケーションにおいて自分が相手に伝えたいなら伝えてよいし、伝えたくなければ伝えなくてもよいとされています。上記の例で言えば、「引き受けます」と伝えたいなら相手にそう伝えてよいし、伝えたくないなら伝えなくてよいのです。その選択は自由です。しかし、その選択をしたのは自分です。ですから、それによって起きた結果は、相手が引き起こしたものではなく自分の選択の結果ということを忘れてはなりません。
自分の思考、感情は自分のもの。相手の思考、感情は相手のものです。こちらが操作するものではありません。どちらも尊重されて当然のものです。
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表現すること、しないことは、生きる権利と同じようにすべての人が持っている権利です。物事を自分の思い通りに運ばせようとして、相手が自由に表現することを阻止するのは、権利を侵害していると思いませんか?
アサーティブな表現では、コミュニケーションにおいてお互いに納得できる点を探します。
妥協ではなく、納得できる点です。自分も相手も尊重しながらコミュニケーションを繰り返しますので、やり取りが増え、時には時間がかかり、面倒だと感じることがあるでしょう。けれど、繰り返すことが良好な人間関係の構築につながります。できるところから、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
深瀬 砂織(ふかせ・さおり)
東京都出身。臨床心理士でシニア産業カウンセラー、2級キャリア・コンサルティング技能士、キャリアコンサルタントの資格を持つ。企業の研修講師、職場環境の改善提案、経営者、人事労務担当者へのアドバイス、大学、自治体での講演など全国各地で精力的に活動している。