苦闘続きだった助っ人ケイはなぜNPBで良化? 「激情左腕」から防御率1.03の「無双左腕」になった軌跡【DeNA】

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苦しみながら生まれた“軸”

 カッターを軸にする――。その境地にたどり着いたのは、昨季序盤、安定していなかったコントロール是正の取り組みに着手したタイミングだった。

 当時のケイについて「まずゾーン内に強いボールを投げ込んでいこうからスタートしました」と明かす小杉陽太一軍投手コーチは、ほぼゼロベースから着手した。

「ただコントロールがアバウトすぎると、いくら速くてもプロの打者は前に弾いてくる。また広島みたいなチームだと、質のいい打球ではなくてもコースヒットとかも増える。ではどうしたらいいかとなったときに、いいボールだったカットボールになりました」

 本人ともコミュニケーションを図りながら試行錯誤を重ねた。その中で“最適解”は見出された。

「スイーパーもすごくいい変化をするんですけれども、変化量が大きい分ボールになってしまいカウントアップできずに苦しくなってしまうケースがあったので、ストレートに近い球速帯で、少し変化するカットボールを軸にして投げた結果、いいボールになりましたね。球速も去年より上がっています。今年一番バットを折っているボールだと思いますよ」

 いまや右左関係なく効果的な武器に昇華した。小杉一軍投手コーチは「ゾーンの中に投げるのがコントロール。構えたところに投げるのがコマンド能力。とりあえずコントロールを良くしようって言っていましたが、行き先はコマンド能力の向上でした」と成功を掴んだ秘訣を説く。

「いまは甘いところに構えたターゲットから、しっかりと変化してくれる。ロケーションがすごくよくなりましたね」

 さらにケイは速球にも違いが生まれている。最速は昨年と変わらぬ158キロだが、「フォーシームのホップ成分も上がっていて質も良くなっているんです」とやや横手気味のアングルから伸び上がるストレートも良化。「昨年のチェンジアップは速すぎて、あまり縦の変化量がなかったんですね。なので30メートルぐらいの距離でチェンジアップを投げて軌道を確認して、握りも少しだけ変えたりしながら抜け感を得られるようにしました。それで
奥行きも使えるようになりましたね。そこもすごく大きいですよ」と落ち球も改良。結果的にスピードに加え、「緩急」という武器も加わった。

 幾多の課題を潰し、日本球界で進化を遂げたアンソニー・ケイ。規定投球回数をクリアし、最優秀防御率のタイトルをゲットする本人の目標も、叶えてしまう勢いを感じている。

[取材・文/萩原孝弘]

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