いまさら聞けない卓球の魅力 「回転」の奥深さを元日本代表が解説! 何気ないレシーブミスは実はただの“凡ミス”ではない!?

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現役時代は「ミユータ」というレシーブ技術で相手を苦しめた(C)Getty Images

――加藤さんはご自身の名前がついた「ミユータ」というレシーブ技術があったそうですね。

「逆チキータ」という技なのですが、私が使い始めの頃は使う選手もあまりいなくて、「ミユータ」と呼んでもらった時代がありました(笑)。自分と同じかそれ以上の選手に対しては単調なレシーブでは勝てないので1個1個の工夫が必要になるんです。もちろん相手のサービスも質が高いので工夫するのも難しいのですが、回転をかけたり、他の選手があまりやらないようなことをして少しでもチャンスを作るようにしていました。ミユータもそのひとつです。

――近年は「チキータ」という技術が主流と聞きますが、どんな技術で、なぜ使われるようになったのですか?

 主にレシーブで使うバックハンド技術で、少し横回転をかけるので相手としては返球しにくいんです。またボールの横をとらえるので回転の影響を受けにくくて、どんな回転のサービスに対しても使えて、かつ攻撃的に打ち返せるのもメリットです。使い勝手が良くて、威力もあって、相手も取りにくいということで、多くの選手が使うようになりました。私もすごく得意でした。ちなみにさっきのミユータ(逆チキータ)はチキータとは逆方向の横回転をかける技術なんです。

――あと卓球はいろんなプレースタイルがあるのも魅力ですよね。「カットマン」と言う守備専門のスタイルもあります。

 これも広い意味で回転の魅力のひとつだと思うのですが、卓球は用具もいろいろな種類があって、それぞれで回転のかかり具合が違って、なんの用具を使うか、どんなプレーをするかでいくつかの戦型に分かれるんです。カットマンは台から離れて相手の攻撃を「カット」という下回転をかける技術で返球する守備的なスタイルですね。先ほどもお話したように下回転は打ち返す時に下に落ちやすいので、強い下回転をかけて相手のミスを誘うのがカットマンの戦い方です。

――そういう各選手のプレーの違いにも注目するとさらに面白く観戦できそうですね。

 ちなみに私は「ドライブ」という上回転をかける攻撃技術をメインに戦うドライブ型です。一番オーソドックスなスタイルですが、ドライブ型と言っても早田ひな選手のようにパワーで押すタイプもいますし、私の場合はパワーがなかったので回転の変化や緩急をつけて相手のミスを誘うラリータイプでしたし、いろんなスタイルがあるんです。

 「回転」「プレースタイル」の違いが見えてくると卓球の面白さ、奥深さがもっとわかってくるはずなので、ぜひそんなところに注目して見てもらいたいです。

[取材・文:渡辺友]

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