年々レース数を増加するF1側の強気な姿勢の背景と弊害とは
国際自動車連盟が来季のF1暫定カレンダーを発表。史上最多の全23戦で開催されることが決まった。F1が世界選手権化されて初年度の1950年は米インディ500を含めて年間7戦で行われ、アイルトン・セナらが活躍した1990年前後は16戦で争われた。年々レース数が増えていくことからプレミアム感が薄まるのではないかと関係者の間で不満の声が挙がっている。
セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン提供)
本欧州メディアなどによると、アストンマーティンの元4連覇王者・セバスチャン・ベッテル(ドイツ)は「グランプリの数を増やすと、それぞれの特別感や期待感が下がる」との私見を示し、「ほとんどのエンジニアやメカニックは家族や子供を持っている。移動もあるからこれでは家族と過ごす時間がない。仕事以外では普通の生活があってしかるべきだ」とした。
1年は52週で、うち23週がF1のレースで割かれることになる。ドライバーは家族をパドックに連れてくることはできるが、チームの従業員はそれができない。以前からF1チームの現場スタッフに離婚が多いとささやかれていたが、それに拍車がかかる恐れもある。
一方で23戦に増えることを歓迎する意見もある。開催数が増えることで放映権やレースプロモーションなどの収益が見込まれ、アルファタウリのフランツ・トスト代表も「23戦になることをわれわれ全員が喜ぶべきだと思う。もし嫌なら出て行けばいい」と語っている。
モータースポーツでの他の世界選手権の年間開催数ははどうか。世界ラリー選手権は来季年間13戦で行われ、フォーミュラE世界選手権も新シーズンは12大会16戦が予定されている。二輪のモトGP世界選手権もレース数は増えているのだが、それでも来季は全21戦でF1には及ばない。