松坂大輔と井上尚弥の共通点 大橋会長が語る井上尚弥の心技体「カラダ編」
横浜高校野球部で歴史上最もパンチ力があったのは…
私の母校である横浜高校ボクシング部には、こんな逸話があります。全国的にも名門と呼ばれる野球部と同じ合宿所で、彼らがたまに遊びに来てサンドバックをパンチすると、ボクシング部の誰よりも破壊力があった。
特にピッチャーは群を抜いていました。あるOBが言うには、「歴代の横浜高校で一番パンチ力があったのは松坂大輔だった」と。高校時代にエースとして春夏連覇の原動力となり、「平成の怪物」と日本中から注目を集めたピッチャーですから、その話を聞いた際には、違和感なく納得したくらいです。
野球には重量制限がないため比較しきれない部分があるでしょうが、ピッチャーが強いパンチが打てるということは、それだけ強靭な下半身が備わっているからです。したがって、下半身を鍛えている井上のパンチが強力なのも当然であり、「パワーの源」と断言してもいいでしょう。
井上尚弥を進化させた食事改革
下半身の強さは子供の頃から続けている練習の賜物なのかもしれませんが、プロになってからの井上は徐々に自分の体への意識が高まっていることも事実です。
そのひとつが食や栄養素へのこだわりです。プロデビューから2年ほどは、「とんかつを食って勝つ!」といったように、食べたいものを食べるというスタンスでした。そのため、体調を壊したり、ちょっとした故障をすることも珍しくなかった。それが、同じジムの先輩にあたる八重樫などがサプリメントを摂るなど、徹底したコンディショニングをしている姿などを見て、自分もサプリメントやプロテインを精力的に取り入れるようになったのです。
当然のことながら、すぐに効果が出たわけではありませんが、階級をスーパーフライ級に上げた15年あたりから、明らかに体つきが変わり、コンディションを大きく崩すこともなくなりました。