WEC開幕戦「スパ6時間」トヨタ勢がハイパーカーデビュー戦で優勝!「ハイパーカー」とはどんな仕様?
FIA世界耐久選手権(WEC)が開幕し、1日に開催された初戦のスパ6時間レース(ベルギー)でトヨタ勢が勝利した。同じ世界選手権でもF1と比べるとなじみが薄いかもしれないが、世界3大自動車レースの仏ルマン24時間レースを主軸にしたシリーズ。今季から最高峰クラスは車両規則が一新し、従来のルマンプロトタイプカー(LMP1)からハイパーカーでの参戦となった。クラス名称も「ルマンハイパーカー(LMH)」に改められた。
スパ6時間レースを走るトヨタのハイパーカー車両(トヨタ提供)
ハイパーカーとはスーパーカーを上回る高性能のスポーツカーのこと。旧規定と同様にハイブリッドエンジン仕様もシリーズに参戦できるが、市販のハイパーカー車両を流用する形を採っている。
開幕戦ではトヨタがハイブリッド仕様の「トヨタGR010ハイブリッド」2台を投入したが、事実上のハイパーカーはこれらだけ。このクラスに出場した仏アルピーヌは旧規定のLMP1車両を使用した。自作のハイパーカー「グリッケンハウス007LMH」でのエントリーを目指していた米スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスは新型コロナウイルス禍での物流制限などで最終調整が間に合わず、シリーズデビューを第2戦ポルテマオ8時間(ポルトガル)に延期した。
不完全な形での船出となったが、2022年には仏プジョー、プライベートチームの独バイコレスレーシングがハイパーカーを送り込むほか、23年にはフェラーリがワークスチームとして参入すると表明した。一方、レッドブルと共同開発した「ヴァルキリー」での初年度からの参戦を目指した英アストンマーティンは今季からレーシングポイントを買収する形でF1に復帰したこともあり、WECについては計画が棚上げになっているという。
開幕戦を制したトヨタのチームオーナーを兼務する豊田章男トヨタ自動車社長は談話を発表。
「何が起こるかわからない初レースで、このクルマの『速さ』と『強さ』の可能性を感じさせてくれた6人のドライバーたちとチームのメンバーに感謝したいと思います」と出場した2台、計6人の所属選手をねぎらい、「ただ、我々は『速さ』『強さ』『安心』『安全』その全てを今後も示し続け、そして高め続けていかないといけません。レースはこれからも続きます。24時間レースもあります。どんな道でも走り続けられるクルマづくりをこのまま続けていってもらいたいと思います。そして、このクルマで鍛えたものをお客さまにお届けできるようにしてまいりたいと思います」とレースで培った技術を市販車へフィードバックすることを約束した。