日本の独立リーグ入りを決めた田澤純一の功績と今後の「田澤ルール」について

タグ: , 2020/7/15

 よく例え話に挙がるのが昨年ソフトバンクと契約したカーター・スチュワート投手のケースだ。昨年の米ドラフト直前、メジャー球団から上位指名が有力視されていたスチュワートが、突如ソフトバンクと電撃契約を交わした。まさに逆・田澤版ともいえる格好で来日。「それでもメジャー球界はスチュワート・ルールなんてものをつくらなければ、考えもしなかった」と日米球界のけつの穴の大きさを比較するかのようにはやすが、それこそ暴論である。両球界の立ち位置やアマチュアの人材豊富さを比べれば、メジャーが日本による青田買いなどに怯える必要は全くないことは、誰にだって分かる。

 もっとも田澤がメジャー挑戦した12年前と比べ、世界の球界の勢力図も変化した。メジャーは海外アマチュアFA選手獲得のルールを厳格化し、若手プロにも適用。彼らと契約できる総年俸にも厳しい上限を設けた。無用なマネーゲームを避けるため、自ら巨額資金による世界からの青田買いを封じたのである。このルールは大谷翔平にさえ適用され、当初は総額2億ドル(約200億円以上)とも言われていた大谷の渡米時の契約金は、メジャー最低年俸の6000万円の単年契約へと押さえつけられた。

 田澤ルールの見直しは確かに必要だろう。しかし、今さら独立リーグでのプレーを余儀なくされた田澤に対して、ことさら感傷的に体制を批判するのも違う。

 田澤は2013年には上原浩治へとつなぐセットアッパーとしてワールドシリーズ優勝に大きく貢献。自らの力でチャンピオンリングをつかんだ。そしてメジャー10シーズン以上の登板で、総額25億円以上ものサラリーを稼ぎ出してきた。34歳という年齢的にはもう一花、というところだろうが、故障歴やここ数年の投球結果を見れば、全盛期の投球は望めないのも事実。今さらNPBのマウンドに未練や、求めるものがあるとも思えない。

 一つ間違いなく言えることは、2008年にNPBからの脅しなどに屈せず、自らの意思を貫いて大成功を収めたということ。ルールに邪魔される悲劇の主人公などではなく、ファンは立派な成功者として迎え入れるべきだ。





※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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