野球・松田宣浩と格闘技・堀口恭司が対談【後編】、強者の意識の差、失敗との向き合い方
右膝前十字靭帯の断裂、半月板損傷という大怪我からの復帰を目指す総合格闘家の堀口恭司選手と、プロ15年目を迎えた福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩選手と対談第2弾。
強いチームならではの考え方、負けた時の向き合い方を語り合った。
強いチーム・選手の意識の差
ーー松田選手はベテランなのに一番チームで声を出している。
松田:古い伝統を払拭したい男なので。22歳でプロに入って、今年37歳ですけど、37歳って当時はえらいおっさんに見えたんですよ。ついこの間入った選手は18歳で、彼らから見たらめっちゃおっさんに見られているかなと思う。(ベテランは声を出さなくていいという)古い伝統を変えたいので、めっちゃ声を出している。
堀口:声を出すと、後輩も負けずに声を出してきます?
松田:いや、出してきません。これがヤバイところなんですよ(苦笑)。「松田さんが出しているから任しておこう」ってなるんですよ。僕らの世代は、先輩が出していたら先輩より被せていかないと、という思いだった。
堀口:自分も、先輩が出していたら負けないように出そうって思いますけどね。
ーー松田選手、堀口選手共に強いチームに所属していますが、チーム内で意識していることは?
堀口:やっぱり仲良くですよね。勝ちにいくことに対しの考え方だったりとか。チームの一人でも勝負のことを考えていないと、いいチームじゃないのかなと思います。
松田:そこは一流は変わらないですね。
堀口:(ソフトバンクという)強いチームの独特の考え方ってありますか?
松田:勝っているからチームに勢いがあるとか、元気があるって当然なんですよ。勝っているチームと負けているチームって温度差が全然違うと思うし、それは恵まれているところだと思うんですよ。一番大事なことって結局、失敗したことを見逃さない。プロの選手って、失敗したら照れて「あ~失敗した」って笑っちゃうってことがあるんですよ。ホークスはそういうのが許されなくて。ベテランでも若手でも、失敗したら必ずもう一回成功するまでやらせるっていうのはいいかなって思っています。
堀口:格闘技は失敗したら負けるんで。だから失敗しないようにどうするかって、相手の対策も立てるので。強いところはそういう対策をしっかりしていますよね。
松田:僕らでもミスしたらできるまでやるし、失敗してそのままにしないってことをみんなやっていますよね。
堀口:そこが勝つチームとか選手ですよね。
松田:積み重ねって大きいと思うので。毎日やっているといい習慣になって、勝てる習慣になってくる。
松田:格闘技は強いか弱いかだと思うんですけど、強い人と弱い人の違いってなんですか?
堀口:簡単にいうと、意識の差ですよね。自分の得意なことだけをやっていて、自分の欠点というか穴を伸ばそうとしない選手は今の総合格闘技では通用しない。しっかり自分の穴、いいところをわかって、それをいかに対戦相手にはめていくか。しっかり穴をなくすことが強い選手、強いチームかなと思います。
松田:気合い一本で行く時代ではないんですね。
堀口:そうですね、気持ちがあればいけるって時代ではないですね。今は寝技も立ち技もレスリングもできて当たり前。そうじゃないと上には行けないという世界になってきましたよね。