初開催で見えてきた「現役ドラフトの穴」 モデルのMLBルール5ドラフトとは構造的に大きな隔たりが

タグ: , , , , , 2022/12/13

 もっともルール5ドラフトには強力な「縛り」が存在する。獲得した選手は1軍ベンチ枠となるメジャー26人枠に登録し続けなくてはならない。負傷者リストや制限リスト入りを除き、再調整としてマイナー降格させる際には、ウエーバーにかけなければならない。獲得希望球団が現れなければ、所属元球団へ「返却」しなければならない。また、所属元球団はその返却を拒否することも可能だ。

 飼い殺し禁止目的で門戸は広いが、獲得したからには使い続けることが義務づけられるわけだ。

 NPBの現役ドラフトは、現状では戦力外ギリギリのレベルの選手たちがリストアップされている印象は拭えない。各球団はすでに戦力外通告を終えた後のタイミングとなり、現役ドラフトへのリストアップも念頭に置きながらの通告となっただろう。

 現在のルールでは現役ドラフトリストアップ不可な選手として、外国人選手、複数年契約中の選手、FA権保有者もしくは過去にFA権行使した選手、年俸5000万円以上の選手(ただし1億円未満の選手を1人までリストアップ可)、育成選手、昨季後にトレード加入した選手、今季終了後に育成から支配下になった選手、が定められている。

 まだ第1回が開催されたばかりで、課題は山積している。選手会側が当初臨んでいたシステムとは異なり、「骨抜きにされた」と嘆く関係者の声も聞こえる。それでも第一歩を踏み出したことが大事で、今回の結果を元に検証を重ね、より洗練されたシステムへブラッシュアップしていく必要がある。

 そして何より移籍した12選手の来季の活躍が、制度改革のスピード感を増すには必要不可欠だろう。原石はそこら中にちらばっている、掘り出し物は目を凝らせば見つかる。12球団のフロントの意識がそう変われば、選手会が求める移籍活性化は自然とうながされていくはずだ。





[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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