「野村監督の右腕」が語る万年二軍にいる選手の課題
「納得するまでやる」…学んだ大きな教訓
すると、当時の2軍監督から呼び出しを食らいました。「松井お前は何を勘違いしているんだ。今から荒川監督のところへ行って、明日からもう一度練習に参加させてくださいとお願いしろ。」こう叱られました。この叱られた人こそが、球界でこれだけの長い年数生活させてもらったキッカケを作ってくれた人でした。
その当時そう言われても、気分も乗らないし、でも行けと言われる。僕は仕方なく監督室へ行き、そこで正座をして「明日から早朝練習お願いします。」と頭を下げました。
私がその時に感じたことは、正座して頭を下げるなど、形に表すことで気持ちが変わるという事です。もしあの時、監督室に行って謝っていなければ自分が変われていなかったたなと思います。僕にとってすごく大きな事でしたね。
そこから僕の中で大きく気持ちが変わりました。
それと同時に、プロ野球界に自分があと何年いられるか。あと何年好きな野球が出来るか。そういった気持ちが出てきました。ここで終わってしまったら一生野球が出来ない。野球が出来る時間が限られている。そのような思いが湧いてきたんです。
ですから、そこからは2軍の練習場に行くたびに、「今日しかない、今日精一杯やろう」と言うつもりで、とことん自分の体を苛め抜くくらい練習しました。もうその時はとにかく我儘でしたね。周囲のことなど構っていられない。自分の納得したい時間を過ごすだけでした。
ノックや、グラウンドのランニングもとにかく自分の納得するまでやっていました。周囲の事などまるっきり考えないで練習に打ち込みました。他の選手から煙たがられましたがね。ある意味ではそのことが僕にとっての転機になりました。当時の2軍監督であった田口監督(のちのヤクルト球団社長)が僕のそういう姿に目を付けていてくれたんです。僕が今この年になってもこうして野球に関われているのも田口監督のおかげですね。
そこで学んだ教訓というものが、後に2軍監督に就任した際に生かされました。若手選手を指導する際、自分が納得していなければ、自分が納得するまで練習しろと言っていました。この行動が心と繋がるのです
よく言いますよね、「心は形を表す。形は心を表す。」と。
本当にその通りで、心が決まるまで待っていたら始まらないんですよね。だから若い選手にはとにかく行動しろと。そこに気持ちが乗って変化が生まれるんです。
続く。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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