吉田正尚の成功を生んだ日本での周到な分析 レ軍首脳陣に反発覚悟で大枚を叩かせた“対応力”「従来のやり方ではダメ」
レッドソックスで安定して活躍を続ける吉田。その圧巻の打撃スキルに開幕当初の評価は一変している。(C)Getty Images
メジャー1年目ながら吉田正尚(レッドソックス)は圧巻の打撃スキルを見せつけている。
直近7試合は打率.240とやや低調気味だが、それでも3割台(.302)は維持。さらに出塁率.375、OPS.848と安定した成績を残しており、名門レッドソックスに欠かせぬ主力となっている。
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もっとも、開幕前にここまで安定した成績を残せると予想した者は少なかった。日本で通算打率.327、出塁率.421を残した吉田の技量にレッドソックスは5年9000万ドル(約126億円)という大型契約を提示したのだが、これを「払いすぎではないか」と見るメジャーリーグのスカウティング関係者が多かったのは事実だ。
ただ、レッドソックスには吉田の活躍に確信めいたものがあった。米スポーツ専門局『ESPN』の取材に応じた球団スカウトを務める育成統括部門長のガス・クアットルバウム氏は「彼は我々のトップターゲットだったから是が非でもほしかったんだ。そのためには従来のやり方はダメなんだと思っていた。もちろん、周りからの反発は受けるものだとは思っていた」と獲得の舞台裏を明かしている。
レッドソックスは熱心だった。2019年から徹底的にスカウティングし、コロナ禍でも映像をもとに常に情報を密に共有していた。そして、ありとあらゆるデータや実際のプレーから吉田がメジャーでの懸念も克服できると決断。大枚を叩く覚悟を決めたのである。