開幕とともに勢いが止まる野球選手「ミスター・フェブラリー」とは何か?
当落線上にいる選手の本音
一軍と二軍を行ったり来たり、当落線上にいるあるセ・リーグの投手は、実情をこう語ってくれました。
「本当だったら開幕以降にピークをもっていけるように調整したいというのが本音です。でも実績のある選手じゃない限り、『今年のアイツはやってくれそうだぞ』と首脳陣に見せつけなくてはならない。だからキャンプでも2月1日からブルペン入りしてガンガン放りますし、紅白戦やオープン戦でも全力で抑えに行きます。でも僕たちは生身の人間ですからね。早く仕上げると開幕の頃には調子が落ちちゃうこともあるし、けがのリスクもある。それでも開幕を一軍を目指して、アピールしなきゃいけない立場なんです」
例えばキャンプのフリー打撃における、打者の「柵越え何発」という報道にしても、打撃投手は本気で手段を選ばずに抑えにかかっているわけではありません。むしろ本職の打撃投手の場合は「いかに気分良く打たせるか」に心血を注いでいます。「紅白戦で特大弾」という報道があっても、味方の投手は死球のリスクを考慮して、そんなに厳しいコースを攻めないものです。
むしろ名球会入りするような大物ベテラン選手は、キャンプ中に毎年、2月の風物詩のように「違和感でリタイアして別メニュー調整」を自ら選んでいました。「大事なのは開幕後。それまではけがに気をつけて、疲労をとりながら休み休みやる方が得策」と経験上、知り尽くしているからこその「自主リタイア」と言えるでしょう。
とはいえ日本球界は「猛練習」「猛特訓」「猛アピール」が大好き。確かに若手が現状を打破するには練習あるのみですが、同じぐらい休養が大事なのも事実です。
今現在、テレビや新聞やネットニュースで「いつでも開幕OK」と報じられている選手たちが後々「ミスター・フェブラリーだった」とならないよう、上手に調整を進めて、勝負の「3・20」に備えていただきたいものです。
いくらキャンプやオープン戦で活躍しても、公式戦で結果を残せなければお給料は全く上がらないのが、プロの世界ですから…。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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