「イノウエは十分に偉大だ」井上尚弥への“不要な階級上げ風潮”に米元世界王者が嘆き「簡単なことじゃないし、危険」
しかし、各国メディアのパウンド・フォー・パウンド(PFP)でも1位に指名されるほどの実績がゆえ、か。“ボクシングの本場”ではさらに高みを目指すべきという異論が噴出しているのだ。
もっとも、こうした現状を憂う現地識者もいる。元世界2階級制覇王者のポール・マリナッジ氏は、米メディア『ProBox TV』のYouTube番組において「すでにイノウエは何階級も上げてきている。俺は今以上の過度な期待はしない」と持論を説いている。
「彼がそうなるというわけではないが、階級を上げ続けると最終的にドーピングに行き着いたりもする。それにイノウエはもう十分に偉大な選手だ。何をするにせよ、彼の意思を尊重するべきだ。(階級上げを求める風潮は)ボクシングというスポーツが抱えているやっかいな問題だよ。世間も、メディアも、過度に上げさせたがる。けど、そんな簡単なことじゃないし、何よりも危険だ」
強い口調で訴えたマリナッジ氏は、「イノウエの前の試合も圧勝だったけど、ダウンをしているじゃないか」とも指摘。5月6日に東京ドームで行われたルイス・ネリ(メキシコ)戦で井上がプロ初ダウンを喫した事実をふまえ、こう続けている。
「階級が上がれば、必然的に相手のパンチやサイズも上がっていく。あのダウンの経験が『階級を上げるならまず身体を作ってから』という気持ちを強くさせたのかもしれない。それに30歳を超えて、身体がどう成長していくかも分からないからね」
一部の米メディアやファンの間で続いている井上に対するネガティブな論調。それに対しては、マリナッジ氏のように冷静に“正論”を説く識者も少なくない。やはりボクシングの本場においてもモンスターの声価をきっちりと認められていると言えよう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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