2014年ソチ冬季五輪でのロシアの組織的な「ドーピング問題」が今になってF1界に波及している理由とは
2014年のソチ冬季五輪で自国開催だったロシアが国家の主導で組織的にドーピングを行った問題が7年後のF1に波及した。
ハースの今季型車両「VF-21」(ハース提供)
昨年12月にスポーツ仲裁裁判所(CAS)がロシア選手団に対して2年間のスポーツ国際大会への出場禁止を命じる判決を下し、その影響でF1に参戦するハースチームの新車のカラーリングがロシアに対する禁止事項に抵触しないか世界反ドーピング機関(WADA)が調査を開始した。
同チームは3月4日に新車「VF―21」を発表したが、車体にはロシア国旗を彷彿とさせる白、赤の配色が盛り込まれていた。それがやり玉に挙がった。同チームからデビューするニキータ・マゼピンはロシア国籍の選手のため、制裁の対象となっているからだ。
CASの判決には「ロシア選手は国際的なスポーツ行事でユニホームなどに自国の国旗を表示してはならない」との禁止条項がある。F1も国際的なスポーツ行事の1つで、自動車レースを管轄する国際自動車連盟(FIA)は国際オリンピック委員会から統括団体として認証されている。CASの判決内容がロシア国籍のドライバーにも適用されることはFIAを通じてロシア自動車連盟に通達されたという。
ロシア選手団に対するスポーツ国際大会への出場禁止措置が解かれるのは2022年12月。それまでマゼピンはロシア国籍での参戦はかなわず、「ロシアからの中立選手」としてのエントリーを余儀なくされる。五輪でロシアの選手が個人参加の中立選手として出場するのと同じ処遇だ。