「負けても仕方ない」東京五輪金メダリスト・入江聖奈の「保険」をかけるメンタルコントロール術とは
金メダルのかかった決勝戦ではなく、準決勝をあげオリンピック特有のメダルの重さと大きなプレッシャーを背負いながら戦った試合を挙げた。さらに、11月11日に行われた最後の国際大会となったアジア選手権の決勝戦も振り返り、「今までは強い相手とやる時は自分に『負けても仕方ない、この相手と試合できただけで凄い』という風な保険かけてた部分があったんですけど、この試合はそれがなかった。負けたのは自分の実力以外何もないですし、余計にめちゃくちゃ悔しくて、保険をかけていない負けっていうのが久しぶりだったので思い出に残る試合でした」と、言い訳のできない力負けでの悔しさが印象に残っていると語った。スポーツ選手が保険をかけて勝負に臨むというと、どこか弱気で、負けた時の言い訳を用意しているような印象を持たれることも少なくない。だがあえて保険を掛ける意味について、
「諦めるのとは全然違くて、強い相手だから楽しもうとか、リラックスさせる意味があるかもしれないです。余計なプレッシャーを追わないように保険をかけてました」
さらにオリンピックの決勝では、「ここまでこれた自分いいじゃん。という所が大きかったので、負けても悔し涙は出ていなかったかもしれないです。金メダルとしたいという欲は出ていたかもしれないですけど、そういうメンタルだったからこそ楽しめたと思います」
と、試合にいどむ際の心境を明かした。本人は「ネガティブです」と笑いながらも、一般的に使われる逃げを作るための「保険」ではなく勝つための「準備」として生み出した考え方だった。保険というネガティブから入って、それを自分の中でプラス思考に変えていく。そして自分の事を自分自身で認めてあげる。世界一に輝いた入江流のメンタル術がそこにはあった。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】「歯磨きにしちゃえばこっちのもの」大学院進学の金メダリスト・入江聖奈が語る文武両道のコツ
【関連記事】ボクシング銅 並木月海 目指す女子ボクシングの未来形 気になる入江との関係性は?
【関連記事】合言葉はカエル女子?ボクシング日本女子に初の金メダルをもたらした入江の素顔とは