【DeNA】バウアーも絶賛する捕手・松尾汐恩を変えた大活躍の開幕3戦目で受けた“悔しい交代指示”「信頼がないということ」

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盗塁阻止の動作に見る松尾の才覚

 無論、松尾の才覚は「コミュニケーション能力」だけではない。フィールディング技術の高さ、さらに盗塁阻止にも目を見張る成長がある。

 現役時代に侍ジャパンのマスクを被った相川コーチも「キャッチャー周りのことだけではないところのプレーにも、本当にセンスがありますよね。スローイング強化のためにサードで練習を毎日しているんですけど、捕球から送球の動きを見ていると、あまりキャッチャーでは見られないセンスを感じます」と驚きを隠さない。

「ワンバウンドからのスローイングであったり、素早いバント処理にも繋がっている気がします。もともと本人の持っているセンスですね」

 また、阻止率が5割に迫る勢いの盗塁阻止の動作にも相川コーチは、「数秒しかない中での状況判断になる。モーションを盗まれているのかいないのか、その中でどれぐらいのさばき方で動くのかという判断をしないといけない」と成長を指摘する。

「全部が全部早く投げればいいというわけではなく、送球強度のパーセンテージが下がれば精度は高くなりますし、上がれば精度は低くなります。毎日反復練習をしているので、そこの使い分けが今年はすごく上手にできていると感じています」

 当人も「フィールディングは自分の中では自然にできることです。ひとつの武器だと思っています」とニヤリ。盗塁阻止にも「使い分けは日々の練習でやっていて、良くなってきていると思いますね」と自信を深めている。

 ありとあらゆる要素が絡んでのスタメン機会の増加。相川コーチも「監督から見ても不安がないなというプレーを見せられたということですね」と目を細め、「いくら能力が高いから『我慢して使いましょう』と言っても、とにかく結果しかない世界なので」とあくまで本人の成果の賜物だと言い切る。現役時代に1508試合出場の経験を持つ百戦錬磨の名手にここまで言わしめるのは、松尾のポテンシャルの高さを改めて裏付けるものだと言える。

 芽が出るのに時間がかかると言われている捕手というポジションで、1年目から「一軍正捕手」を掲げてきた松尾。今の彼には、その目標を早々と叶えてしまっても、不思議ではないと思わせる“何か”がある。

[取材・文/萩原孝弘]

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