【現地発】40打席ノーアーチだった大谷翔平が”不振”から抜け出せた理由 量産体制に入る”カギ”は打球角度、方向、ボール球への対応にあり

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当たりが出始めた大谷。徐々に本調子を取り戻してきている(C)Getty Images

「長かった」

 開幕から9戦、41打席目のドジャース1号をマークするまでの心情を、大谷翔平はシンプルな言葉で表現した。

【動画】4試合連続マルチ!大谷翔平が適時二塁打を放ったシーン





 新天地での1発を自身も待ち望んでいた。3月20日から韓国シリーズ2連戦を戦い、1週間後に本拠地ロサンゼルスで7連戦。ドジャースタジアムでの開幕戦の数日前には、水原一平氏の賭博騒動で記者会見を開き、ショックを受けていたことを隠さなかった。ここ最近は体調不良も重なっており、状態は決して良くなかった。

 打撃で徹底する基本は「甘い球をセンターに打つ」。過去に、この意識を繰り返し口にしてきた。だが、本拠地開幕からの7連戦では、真ん中のボールのミスショットがあまりにも多かった。打球角度はもちろん、打球方向や打席内容の数字も異変を物語っていたが、移籍後初アーチを機に改善されてきた。

①打球角度の平均
 3日のジャイアンツ戦終了時点では8.2度だったが、カブス2戦目を終えて11.1度まで上がった。本塁打王を獲得した昨年は13.2度で、46本塁打を放った21年は16.6度、34本塁打の22年は12.1度。例年と比べるとまだ数値は下回るが、それでも徐々に本来の打撃に近づいている。

②打球方向
 初アーチを記録した3日のジャイアンツ戦まで二塁打3本は全て右翼線へ引っ張った当たりだったが、5日のカブス戦で左越えの二塁打を放った。全方向に長打を打てるのが大谷の特長。昨年、絶好調時は内角球(高めを含む)を逆方向に打ち返した本塁打を7本マークした。今季は序盤から徹底した内角攻めに対応し切れていなかったが、6日のカブス戦では内角球を左前に運び、らしさも見え始めた。

③ボールゾーンへのコンタクト率が増加
 MLB公式のデータサイト『ベースボール・サバント』によると、6日のカブス戦終了時点でChase Contact%(ゾーン外のコンタクト)が72%で、現状では例年の50%前後に対して高い数値となっている。状態が悪い時の大谷は、対応しきれない内角球を意識させられるあまり、外角や高低のボールゾーンに手を出して打ち取られるケースが多い。

 移籍後初アーチを放った4月3日のジャイアンツ戦後、大谷は「早く打ちたいなっていう気持ちがどんどんいいアットバット(打席)からかけ離れていくっていう状態だった」と語った。さらに「なかなか調子が上がってこなくて、焦る気持ち、早く打ちたいって気持ちを我慢しながら、自分のスイングをしようと努めてきた」とも言った。

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