オリンピック金メダリストのクロアチア人・石井慧&グレイシー一族に恨みを買った大山峻護、波乱万丈の格闘家対談
モチベーションがあれば言葉の壁は越えられる
大山:石井くんは世間の声に負けずに自分を磨き続けている姿勢がすごいって思うし、格闘家としても人間としても進化している。海外での生活で、言葉や生活環境は大丈夫ですか?
石井:言葉はモチベーションがあれば喋れるようになります。勉強しましたよ。やっぱり、勉強しないと覚えない。語学って一番手っ取り早いスキルの身につけ方だと思うんですよね。何したらいいかわからないけど、自分のスキルをあげたいって思うなら、モチベーションさえあれば語学が一番手取り早いと思います。
大山:学生時代はそんなに勉強していなかったですよね…?(笑)
石井:していなかったです。大学で教えていることはほとんど必要ないことだと思うので。僕大学の時に栄養学のテストで、「一般人の栄養学をスポーツ学科の学生に教えたって当てはまらない。健康のためや人のためにやっているわけじゃないから」って、自分の栄養に関するアツい思いを書いて提出したら、後で先生に呼び出されました。
大山:石井くんらしいエピソードですね(笑)。今、言葉は問題なく過ごせているってことですね。
石井:一番は英語、次にクロアチア語、ロシア語も読み書きできますが発音が難しい。英語は普段の生活で支障がないですけど、クロアチア語は友達とかと話していると英語とクロアチア語のコンビネーションになる感じですね。やっぱり、話を聞いてくれる人がいると伸びるらしいです。クロアチアとかは公用語の他にいろいろな言語を話す人がいるから、クロアチア語以外も聞こうとしてくれるんですよね。
大山:そういった意味では、クロアチアにいる彼女の存在も大きいですよね。
石井:大きいです。あと、子供と話すのも勉強になるみたいですね。日本人でクロアチアの子供に柔道を教えていた人がいたんですけど、2年くらいでクロアチア語をベラベラに話していました。子供って簡単な言葉を使うし、ゆっくり話すし、エナジーがすごい。大人だったら単語とかがわからないと英語に逃げるけど、子供ってわかるまで諦めないですからね。
大山:石井くんは格闘技に対しても生き方に関しても真っ直ぐで純粋だし、すごくいろんなことを深く考えている。ただ、メディアに少し誤解されている印象があります…。
石井:それは違うんですよ。僕のことを編集せずに伝えてくれているメディアもあります。僕がなんか言ってもカットしたりして、向こうのイメージを植え付けようとしてくるところもありますけど。でも、それは向こうも仕事としてやっているからしょうがないですけど。
大山:石井くんはオリンピックで金メダルとって、鳴り物入りで格闘技のプロになったけど、なかなか結果が出ない時もあって大変だったと思います。期待値が高かったからこそ、世間の反発もあったりして。でも、ここにきてやってきたこと一つ一つが繋がってきて、いい風がすごく吹いているなって感じますね。
石井:人生いい時もあれば悪い時もある、その繰り返しですからね。目の前のことを一つ一つやるだけです。
大山:これからの夢は何ですか?UFCとかで戦う姿も見たいですね。
石井:行きたいですね。一番強くなりたいです。
大山:見たいですね、石井くんがUFCで戦う姿。今回はK-1という大舞台に立って、あれだけの打撃のスキルを見せていたというのはすごいことだし、あれで石井くんを見る目がガラッと変わってきたと思います。UFCに出て、今までの評判とか全部ひっくり返す姿を見せてほしいです。
「死ぬ覚悟があるなら試合に負けて死ね!」
大山:石井くんは国士舘大学時代、朝まで練習してしまうくらい練習をしていたっていう話は有名ですけど、そのパワーの源はどこから?
石井:怪我との戦いでしたよ。オーバーワークだったり、練習で無理に技かけたりとか。でも、オリンピックまでは頑張ろうかなって思っていました。
大山:オリンピックへの出場が危うくなって絶望して、気付いたらビルの屋上にいたって話を聞いたことがありますが…?
石井:怪我で選考が不利になったと思って。ちょうどその時先輩から「今何しているんだ?」って電話がかかってきて、それで「今、ビルの屋上にいます。死のうと思います」って話したんです。ずっとオリンピックを目標にしていたので、鬱になっていたんでしょうね。そしたら先輩から、「お前は侍だろう!試合で負けると言うことは死を意味するから、死ぬ覚悟があるなら試合に負けて死ね!」って言われて。なんかその言葉が刺さったんですよね。ちゃんと紙に書いて残していました。
大山:覚悟がすごいですよね。ずっとアクションを起こして扉を開いて未来を作ってきた男だから、石井くんのこれからが楽しみです。こういう生き方をしている男がいるということをもっと多くの人に知ってほしいし、石井くんの生き様を見て頑張ろうって思う人が増えてくれたら嬉しいです。
石井:コロナ禍で難しいことばかりですけど、待っているだけでは好転しないですから。行動を起こすとまた違うドアが開く。何かアクションを起こすとそれが思わぬ方向に繋がったりするので、自分ができることを行動に移してもらえればいいのかなと思いますね。
石井選手の次戦は、12月4日に地元・大阪で行われる「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN」。193cmの長身ストライカーRUI選手と対戦する。8年ぶりの地元凱旋マッチ、酸いも甘いも知り尽くした男が、磨き続けてきた技術と生き様で大阪をアツくする。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
大山峻護(おおやま・しゅんご)
5歳で柔道を始め、全日本学生体重別選手権準優勝、世界学生選手権出場、全日本実業団個人選手権優勝という実績を持つ。2001年、プロの総合格闘家としてデビュー。同年、PRIDEに、2004年にはK-1・HERO‘Sにも参戦。2012年ロードFC初代ミドル級王座獲得。現在は、企業や学校を訪問し、トレーニング指導や講演活動を行なっている。著書に「科学的に証明された心が強くなる ストレッチ」(アスコム)。ビジネスマンのメンタルタフネスを高めていくための本「ビジネスエリートがやっているファイトネス~体と心を一気に整える方法~」(あさ出版)を出版。
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